インドを訪れて ーIB校訪問とインドの歴史を辿る旅


2月10-16日、はじめてインドを訪れました。メインはPathways World Schoolの見学だったのですが、その後アグラとデリーを訪問し、いくつかの文化遺産に触れ、歴史が気になり、調べてみたらとても面白かったので、備忘録を残しておきます。


【インド随一の国際バカロレア校 Pathways World School】

今回は、国際バカロレアのTOK(Theory of Knowledge) の考え方を教えていただき、LCLでもずっとお世話になっているシャミ・ダッタ先生にアレンジしていただき、グルガーオンという、デリーの中心から1時間余り車で向かったところにあるPathways World Schoolを丸二日見学させていただきました。この学校は、2003年に設立され、全校生徒数800名(内寮生約400名の国際バカロレア校で、プレキンダー、小学校、中学校、高校まである学校で、その全てにIBのプログラム(PYP, MYP, DP) が導入されています。

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強者の前で女性が声を挙げるということーアンジェラ・デイヴィスから学ぶ

2024年の選挙戦時から”America First”を掲げてさまざまな発言をしてきたトランプ大統領。2025年1月20日の就任の日には、パリ協定からの再離脱を表明、WHOからも離脱、パナマ運河を再びアメリカの管理下に置く意向を表明しました。また、連邦政府における多様性、公平性、包摂性(DEI)に関する政策を終了する大統領令に署名。連邦政府が認識する性別を「男性」と「女性」の2つのみとし、性別の変更を認めないとする大統領令、さらに、2月1日には、トランプ大統領はカナダとメキシコからの輸入品に対して25%の関税を課す大統領令にも署名。2月3日(日本時間2月4日朝)に、イーロン・マスクが、海外援助を管轄する国務省傘下のUSAID(アメリカ国際開発庁)について、トランプ大統領が閉鎖に同意したと伝えたというニュースが飛び込んできました。今日は、教育省の廃止を目指すというニュースが・・。

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民主主義のつくりかたー市民教育から学校文化の醸成へ。Ron Bergerからのメッセージ

アメリカの教育者、ロン・バーガーの主著 ”An Ethic of Excellence”の日本語訳『子どもの心に灯をともす』(英治出版)が2023年3月に出版されてから、もうすぐ丸2年となります。昨年夏には、ロンの来日が実現しました。米国サンディエゴにあるハイ・テック・ハイの教育大学院が2013年から実施している国際的教育カンファレンス、Deeper Learningの日本版(Deeper Learning Japan 2024) を同校とMOU締結の上スタートし、初代キーノートスピーカーとして招聘しました。

 

Deeper Learning Japanはハイ・テック・ハイ教育大学院を卒業した芦田加奈さんをリーダーに、『子どもの心に灯をともす』の翻訳者、塚越悦子さん、High Tech Highに留学した岡佑夏さん、そして同書の企画と解説を担当した私の4名がコアチームとして運営し、その後もロンと緩やかに交流を続けています。今年は、ロンから驚きのオファーをいただき、サンディエゴで開催されるDeeper Learning 2025 (4/2-4) で、塚越悦子さん、私、そして昨夏ロンの通訳を担当した私たちの子どもたちが一緒にカンファレンスのDen Talkに登壇することになりました。(来年度のDeeper Learning Japan(DLJ2025) は2026年1月5-6日を予定しています)

 

そうしたやりとりの中で、ある仕事の関連で教育と民主主義について、ロンにコメントを求めたところ、びっくりするほど丁寧な長文のメッセージをもらいました(本人はRambling Thoughtsと言っていましたが・・)。プライベートでもらったものでしたが、極めて重要なことが書かれており、私の仕事としてのアウトプットは少し先であり、トランプのアメリカ大統領就任というタイミングであることから、もらったメッセージを私だけに留めないほうがいいと考えました。そこで、全文をそのまま、現時点で日本の教育者にシェアしたいとロンに伝えたところ、快諾をもらいましたので、このブログで共有したいと思います。

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同じ空気を吸うためにーインクルーシブ教育を切り拓いたジュディス・ヒューマンの生き方から学ぶ

あけましておめでとうございます。

昨年は、スタートしたインクルーシブ教育のFOXプロジェクトの模索の年だったように思います。2021年2月に日本でも数例しかない遺伝性疾患を持ち、重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複した、重症心身障害児(重心児)未來君のお父さんから連絡をいただき、重い障害がある子の保護者の方たちとお話をするようになったことがプロジェクトのきっかけでした。その後、寝たきりで医療的ケアが必要な双子のゆうすけくんとまさきくんのお母さん、広汎性発達障害(自閉的傾向)でこだわりが強く、言葉では細かな感情などのコミュニケーションを取るのが難しいRay君のお母さんたちも一緒に、プロジェクトを進めています。

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障がいがあっても「たのしさ」で繋がる共生社会へ −エグモント・ホイスコーレン訪問

8月中旬にデンマークに行ってきました。千葉で里山をコモンズ(共有財産)として、コミュニティづくりをしている人たちが企画した旅に便乗し、ユネスコ世界遺産を目指すレス島の海藻茅葺の家やエコビレッジなども見に行ったのですが、私自身の主目的は、昨年スタートしたインクルーシブ教育推進のFOXプロジェクトに絡めて、誰もが「ノーマル」に生きることができる共生社会を実現するという、ノーマライゼーションの発祥の地デンマークのインクルーシブ教育・社会の現状の視察。行ってきたのは以下の2箇所です。

 

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デンマークの「生のための学校」フォルケホイスコーレってどんなところ?(インタビュー)



藤原さとです。朝などは少し暑さも和らいできたでしょうか。

さて、名前だけは知っていたけど、この数ヶ月気になって仕方がなかったフォルケホイスコーレ。フォルケホイスコーレはデンマーク発祥で「人生の学校」とも呼ばれる、17歳半以上ならだれでも通える教育機関です。人生の中で立ち止まり、生徒と先生が共に暮らしながら共に対話しながら学ぶ場所で、北欧に150校、デンマークに70校あるそうです。

フォルケホイスコーレ運動をはじめたグルントヴィは「デンマーク近代教育の父」「成人教育の父」とも呼ばれています。この人物の詳しいことはまたと思っていますが、北海道東川町へ移住し、「日本にフォルケホイスコーレをモデルにした人生の学校を作ろうプロジェクト」と株式会社Compathを立ち上げた 安井早紀さん、遠又香さん、にフォルケホイスコーレのお話をうかがいました。

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学校であり学校を超える造形の学校―バウハウス



藤原さとです。


ちょうどこの夏、開校100年を記念して、東京ステーションギャラリーで「きたれ、バウハウスー造形教育の基礎」という展示や、バウハウス100年映画祭をやっていましたので、見てきました。1919年に第一次対戦で敗戦し、経済的にも疲弊していたドイツにできた「バウハウス」。「バウ」はドイツ語で「建築」を指します。この学校は全学年150名ほどの小さな学校で、ヒトラー政権が成立した1933年まで、14年間しか存続しませんでしたが、建築・デザインの世界では知らない人はいないというほどの影響力を今でも持ちます。まだどちらも8月末から9月頭にかけて上映や展示があります。ものすごく面白い学校で、且つこれだけまとまってバウハウスのことを知ることができる機会はそうそうないような気がしますので、ご紹介がてら備忘録を。

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ほんとうの「人間」になるための教育〜パウロフレイレ「被抑圧者の教育学」を読む

 

藤原さとです。

緊急事態宣言も解除されましたが、いまひとつすっきりしない日々が続いています。私のほうでは、仕事にも関連し、High Tech Highというサンディエゴのチャータースクールの教員であるジョン・サントスとやりとりすることが増えていて、休校に伴うアメリカの様子などいろいろ聞いていました。 (さらに…)

【米国教育レポート】「つながりで学ぶ」を探究するコネクテッド・ラーニングサミット

藤原さとです。

先日カリフォルニア州アーバインで行われた学会「コネクテッド・ラーニング・サミット」に出席しました。

コネクテッド・ラーニングサミットは、もともと2005年に Digital Media and Learning Initiativeという「デジタルメディアがどのようにして若い世代のコミュニケーションや学び、遊びに影響するか」をリサーチするマッカーサー基金による約50億円($50Mil)の研究から始まりました。

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学びのコミュニティはどのように創ることができるのか?デューイの理念を体現するプログレッシブ伝統校–Hanahau’oli

 

引き続き、ハワイの学校視察のレポートとなります。ハナハウオリは英語で“Joyous Work” 日本語だとぴったりした言葉が見当たらないのですが、「喜びに満ちた取り組み」でしょうか。設立100年の伝統私立校です。プレスクールといって、年中さんから小学校6年生までの210名が学んでいます。

ハワイは、アメリカで一番人種が多様な州と言われており、世界的にみてもその人種多様性はトップクラスです。こうした中で、色々な宗教や文化が混じり合う子どもたちがどのようにコミュニティーとして共存していくのかは彼らにとって大きなテーマです。その中でも、アメリカの教育哲学者、ジョン・デューイのプログレッシブ教育の考え方を非常に大事につつも、それを発展させ、多様性に富むコミュニティーを支える人材育成をしてきたこの学校についてレポートしていきたいと思います。

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