藤原さとです。
先日カリフォルニア州アーバインで行われた学会「コネクテッド・ラーニング・サミット」に出席しました。
コネクテッド・ラーニングサミットは、もともと2005年に Digital Media and Learning Initiativeという「デジタルメディアがどのようにして若い世代のコミュニケーションや学び、遊びに影響するか」をリサーチするマッカーサー基金による約50億円($50Mil)の研究から始まりました。
初期メンバーは南カリフォルニア大学ヘンリー・ジェンキンズ教授、ノースウエスタン大学学習科学ニコール・ピンカード准教授、カリフォルニア大学アーバイン校情報学部のミズコ・イトウ教授らです。
もともとは大学の研究から始まった活動ですが、このテーマならではの必然で、学校の外に出て、地域の人たち、リソース、教師、学生、保護者、メディアなどに積極的につながっていくところがこのサミットの特徴です。いわば、社会に開かれた「学会」のようなイメージでしょうか。参加していた感覚だと、大学関係者と、教育者(教師・民間教育・教育系NPO)、学生、地域活動者などがバランスよく参加していたように感じます。
では、「コネクテッド・ラーニング」とは何か。上の図は、「興味関心の芽生え」「関係性の中での相互の学び合い」「実際に学びを社会で実践してみる機会」を指しており、この3つが重なり合う場所を彼らはコネクテッド・ラーニングと定義しています。「学習機会は学校に限定されるものではなく、さまざまな生活の場所(学校、家、コミュニティ)に学びの機会があり、それを繋げて学んでいく」という考え方のもと、この3つの円の重なるところをできるだけ大きくし、学びの場を広げていくことを目指しています。
わかりやすいコネクテッド・ラーニングの例としては、シカゴ公立図書館に作られたYOUmediaがあります。これは、放課後に気軽に立ち寄り、本だけでなくコンピュータを活用できる、ティーン向けのラーニングラボです。メンターや、シカゴ市内の美術館や博物館などの施設とつながり、デジタルアートや科学技術・美術を学ぶことができます。教育格差を軽減するために始まったYOUmediaの取り組みは、現在21の地域で開催されています。
また、コネクテッドには2つの意味合いがあります。1つは、前述したとおり「多様な人たちとどう繋がり、学びを深めるか」。これは、経済的な格差をどう軽減していくかや、公正と正義をどう実現していくかなど、社会的包摂の視点も含んでいます。そして、その目的のために「オンラインやデジタルメディアでどうつながるか」ということを考えていきます。
詳細のレポートはこちらから
https://note.com/tankyumedia/n/n82301131539b
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