公正・正義を教育のめがねで探究するその2:ロールズ「コーポラティブベンチャー」を教育に応用する

 

前回は「正義」についてプラトンを中心に考えました。今回は、二十世紀最大の政治哲学者と言っても過言ではないジョン・ロールズの思想について「学校」のメタファーを使って考えていきたいと思います。プラトンは「正義」が何かについて非常に明快な示唆を与えました。でも、「どうやったら正義を実現できるのか?」については、複雑な現代に生きる私たちが具体的にすぐ行動を起こせるような、誰にでもわかるような方法(How)を指し示すことはありませんでした。

 

だって、さまざまな欲求を持ち、さまざまな個性・技能・卓越を持つわたしたちが全て幸福になれる世界なんてどうやったら実現するのでしょう?私たちは「家族」内や「職場」内ですら、お互いの価値を認め、いつもハッピーに暮らせるとは限りません。どんなに近しい人であっても、全く同じ主義主張を持つことはありえません。さまざまな考え方を持つ私たちが調和し、一緒に生きていくために、どうしていかなければならないのでしょう。ロールズは、そんなことを『正義論』で考えました。[i]

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公正・正義を教育のめがねで探究するその1:プラトンと正義の歴史

4月にマイケル・サンデルの『実力も運のうち−能力主義は正義か?』という本が出版されました。マイケル・サンデルといえば、NHKの「ハーバード白熱教室」や『これからの正義の話をしよう』などの本で知っている方も多いと思いますが、思想的系譜としては「正義論」の中でも、コミュニタリアニズム(共同体主義)の代表的論者となります。

 

ところで、前回の哲学登山のテーマは「正義」。「正義」という言葉は、日本語では「正義の味方」など、道徳の匂いが強かったり、ときには「融通がきかない」「自己満足」「ええかっこしい」というマイナスのニュアンスを持つこともあります。みなさん、「正義」というと何をイメージするでしょうか。

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【2021年6月-2021年9月】教育を探究する哲学登山コースVol.5「発達と学習」

哲学することは、難しい?

哲学書、専門書を読むことを「登山」になぞらえて、「おすすめの登り方」を紹介しつつ、「みんなの登ってみた体験」を共有する「哲学登山」。

Learning Creator’s Labでも、「探究する学び」というものの考え方には哲学的な背景と系譜があるためそれを踏まえてプログラムづくりをしてきましたが、引き続きその「哲学」部分を、一人ひとり個別的に深めつつ、協同的に深めていくことをしていきたいと思います。

「わからないは、おもしろい」

“哲学の山の登山は険しいものでもあるけれども、多くの人に開かれた楽しみです。色々な山ごとに案内人を務める研究者たちの本と合わせて読むと一人では見渡せなかった風景がより見えてくるもの。”

哲学書、専門書を噛み砕くのでもなく、わかりやすく伝えるのでもなく、わからないところはわからないと伝えられる場の中で、桐田シェルパが哲学的な思考の旅路をガイドしてくれます。

今まで何度か哲学書や専門書にチャレンジしたけど挫折した人、読むことはそんなに好きではないけれど、考えることが好きな人。学校現場などで何か考えるモノサシのようなものがあったらいいのになぁ、と思う人。

はじめに登った「自由の山」、次に登った「探究の山」「自然の山」「民主主義と正義の山」に続き、「発達と学習の山」を今回登ります。イントロダクトリーなオンラインコースです。ぜひ一緒に登山をしましょう!

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3/28「探究する学びと日本の 教育の旅ー信州教育」の動画を一般公開しました!

 

3月28日に開催いたしました「探究する学びと日本の 教育の旅ー信州教育」について終了後に多くのご要望をいただき、この度、動画を一般公開させていただく運びとなりました。
https://youtu.be/KZZlx_Oz_ck

HTH

また、これまでの対談イベントなどで動画が一般公開されているものについても「ライブラリ」の中に「ビデオライブラリ」を追加し、まとめさせていただきました。

多くの教育に関わる皆様にとって、少しでもお役に立てれば幸甚です。

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福澤諭吉が私たちに残してくれたもの〜私たちの教育のルーツを辿る(7)

 

新学期が始まりました。新しい生徒たちが教室に入ってきて、ワクワクしたり、不安になったり、色々する季節です。こたえのない学校も、Learning Creator’s Lab 本科5期生36名、Schools for Excellence 1期生 24名、合計60名のメンバーと共に、秋から年末に向けての旅に出発しました。わたしもワクワクしたり緊張したりしています。哲学登山などのオープンラボも引き続き実施しますので、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。

ところで、今年は日本の近代学校教育としての「探究学習」のルーツを辿りたいと思っています。一方で、そのルーツは直接的には「大正自由教育」に見出すことができるだろうと思ってスタートしたのですが、実は「大正自由教育」を調べていると、結局明治の教育に遡らないとわからない。そうなると明治維新、江戸へ・・とどんどん古い時代に足を踏み入れております。2月に吉田松陰について書いたのですが、今回同時代人の福澤諭吉について少しまとめました。ま、ブログですので、気の向くまま、気がついたことをメモしていきたいと思っています。

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