home > Blog > 藤原 さと > 子どもと本を読むということ 〜10年の読書記録

 

藤原さとです。

 

娘は今小学校6年生。今まで現役すぎて自身の子育てについてほとんど書けなかったのですが、10歳を超えたあたりから自分の時間を持つようになった娘を前に急速に「子育てが終わった感」が出てきました。そして、少しずつ振り返ることができるようになってきました。

 

今日はその中でも、娘と一緒にこの十年読んできた読書メモを中心に、「子どもと本を読む」ということについて書いてみたいと思います。

 

 

【幼児期】

1歳になる直前に保育園に入るまで、娘はサルの子のように文字通り24時間私の側にいましたが、保育園に入ってから読み聞かせを毎日の日課としました。私の母は大学時代に児童心理学を専攻していたのですが、コロコロと変わる育児の流行に心底辟易していたようで、全くと言って良いほどアドバイスがありませんでした。なので、新米母が頼るものは育児本だけ。特に理由はなく、多くの本が「読み聞かせは良い」と書いてあったので、「そんなもんかな?」と始めてみました。このころはおなじみ五味太郎さん、谷川俊太郎さん、かこさとしさんなど絵が綺麗で語感の良いものを選んでいました。年中になると中川李枝子さんの「ぐりとぐらシリーズ」「いやいやえん」「おひさまはらっぱ」など。「森のへなそうる」「ちいさなモモちゃんシリーズ」なんかも大好きでした。

 

年長になると、ぐっと内容が上がって神話を読んであげていました。「ギリシャ神話(集英社)」「日本の神話(玉川大学出版部)」「旧約聖書物語(女子パウロ会)」など。由良弥生さんの「眠れないほど面白い古事記」は大人向けですが、軽い口調でイザナミ・イザナギの話からアマテラスオオミカミ、ヤマタノオロチ、因幡の白兎などおなじみの話が順番に出てくるので、多少言い換えながら読んでみたら、本当に楽しそうに聞いていました。

 

【小学校一年生】

小学校に上がってすぐ、家庭の事情でアメリカに行くことになったのですが、そこで、一つの転機がありました。ひらがなもカタカナもままならないまま、現地校で英語で授業を受けることになった娘は日本語で本は読みません。一方で、英語もわからないわけですから、英語の本も当然読みません。一瞬狼狽えましたが、「そうか、日本語だけでも読み聞かせを続けよう」と気持ちを切り替えました。この年に読んであげたものは以下。同じくらいの年の子が主人公の本が中心です。こども哲学の本は、読み聞かせというより話し合いながら読みました。この時期、本人はドラえもんや、おばけのQ太郎の漫画を読んでいました。

 

「赤毛のアン」L.M.モンゴメリ

「モモ」ミヒャエル・エンデ

「窓際のトットちゃん」黒柳徹子

「オツベルと象」宮沢賢治

「ドリトル先生シリーズ」ロフティング

「こども哲学シリーズ」オスカー・ブルニフィエ

 

【小学校二年生】

二年生になっても娘は英語を喋りませんでした。聞き取りもそんなにできている様子ではなく、先生も少し心配しはじめました。一年間経てばペラペラどころか、ほとんど学校の授業を理解していないため、日本語だけでもと思って読み聞かせをしていた時期です。この年は、ハリーポッターに始まり、ハリーポッターに終わりました。漫画は、ヒューストンの日本商工会によって運営されている図書館で、「宇宙兄弟」「岳」などを借りました。日本語補習校のおかげで、日本語の本も自分で読みはじめました。

 

(読み聞かせ)

「ハリーポッターシリーズ全巻」J.K.ローリング

「はてしない物語」ミヒャエル・エンデ

 

(本人が自分で読んだ本)

「シートン動物記シリーズ」アーネスト・T・シートン

 

【小学校三年生】

三年生になって、やっと片言の英語で周りの人とコミュニケーションを取りはじめました。年の後半に入って爆発的に英語が読めるようになってきます。はじめは幼稚園で読むような絵本でしたが、ロアルド・ダールの本にのめり込んでいきました。アメリカで大人気の“ワンダー”も本当に良い本でした(原著がおすすめです)。

 

(読み聞かせ)

「ナルニア国物語 全巻」C.S.ルイス

「アメリカの小学生が学ぶアメリカの歴史教科書」ジェームス・M・バーダマン

「世界の歴史 1-15巻(漫画)」学研

 

(本人が自分で読んだ本)

“Charlie and the Chocolate Factory” Roald Dahl (邦題:チョコレート工場の秘密)

“The BFG” Roald Dahl (邦題:オ・ヤサシ巨人BFG)

“Matilda” Roald Dahl (邦題:マチルダは小さな天才)

“The Witches” Roald Dahl (邦題:魔女がいっぱい)

“Wonder” R.J.Palacio (邦題:ワンダー)

 

【小学校四年生】

四年生の途中で帰国。帰国のバタバタもあって、日本語に触れる機会も当然増えたので気が抜けて読み聞かせのペースが大きく落ちました。この時期は、本人は岡田淳さんの「二分間の冒険」が面白いと、「びりっかすの神様」や「放課後の時間割」など次々と10冊ほど読んでいました。英語の本も読み続けました。

 

(本人が自分で読んだ本)

「二分間の冒険」ほか、岡田淳さんの本10冊ほど

”Harry Potter Series Book1-5 The Order of the Phenixまで” J.K. Rowling (邦題:ハリーポッター)

“Holes” Louis Sachar (邦題:穴)

“The Borrowers” Mary Norton (邦題:床下の小人たち)

“Mrs. Frisby and the Rats of NIMH” Robert C. O’Brien (邦題:フリズビーおばさんとニムの家ねずみ)

”Heart of a Samurai” Margi Preus (邦題:ジョン万次郎〜海を渡ったサムライ魂)

 

【小学校五年生から今】

小学校の半分以上をアメリカで過ごした娘は、本は現時点ではまだ英語の方が楽なようです。日本語の本は、「ざんねんないきもの」系ばかりでまた読まなくなってきてしまったので、読み聞かせを少しだけ復活。たまに一緒に読みます。やはり同年代の子が出てくる本を中心に選んでいます。英語は、シリーズで読むのが好きで、連続で読んでいっています。ちなみに英語の本は自分で何を読むかを決めているので、私はほとんどノータッチです。

 

(読み聞かせ)

「西の魔女が死んだ」梨木香歩

「きみの友だち」重松清 (途中から奪い取って自分読み)

「きみたちはどう生きるか」吉野源三郎(途中までで脱落)

「博士の愛した数式」小川洋子(現在途中まで)

 

(本人が自分で読んだ本)

“The Giver” Lois Lowry (邦題:ギヴァー 記憶を注ぐ者)

“Gathering Blue” Lois Lowry (邦題:ギャザリングブルー 青を蒐める者)
“Messenger” Lois Lowry (邦題:メッセンジャー 緑の森の使者)
“Son” Lois Lowry  (邦題:ある子ども)
“The Unfortunate Event Series” Lemony Snicket (邦題:世にも不幸なできごと13巻)

”The Spy School Series” Stuart Gibbs (邦題:スパイスクール他7冊)

”Stay Where you are and then Leave” John Boyne (訳本なし ジョン・ボイン著)

“Private Peaceful” Michael Morpurgo (邦題:兵士ピースフル)

“Black Beauty” Anna Sewell (邦題:黒馬物語)

“Treasure Island” Robert Louis Stevenson (邦題:宝島)

 

 

【読み聞かせは一石三鳥以上?】

うちの場合は、たまたま日本語に触れる機会が減ってしまったことが読み聞かせを続ける一つのきっかけともなりましたが、結果的に10年一緒に読み続けてきて、誰でもない母親の私が一番得をした・・と思います。

 

実は、私自身が子どもの頃あまり小説も物語も読んでいないのです。基本的に本よりリアルな世界で奮闘している、もしくは妄想派でした。なので、上述の本のうち多くは読み聞かせをきっかけにはじめて読んだのですが、とてもとても面白い!まさかこの歳になってハリーポッター全巻とナルニア国物語を全て音読することになるとは想像していませんでした。

 

また、こうやって並べるとなんだか凄そうに見えるかもしれませんが、私が自分に課したルールは二つだけ。「自分の読みたいものを読む」「一日10ページ以上読む」。

 

「自分が読みたいものを読む」というのは意外と重要で、これがないとそもそも続けられないし、親が楽しんでいるかどうかは子どもに伝わります。例えばアンパンマンは、娘も好きでしたが、夜に「バイバイキーン!」とギラギラした色の本を読むと私が安らかに眠れないので、昼間に読むことで勘弁してもらっていました。(あ、あんぱんまんの原作は素敵です)また、自分一人では読めないものを子どもと一緒に読むことで、世界が広がる楽しさを感じるようになるとモチベーションも上がってきます。一見学年レベル以上のものを読み聞かせしているようですが、そもそも保育園生がプリキュアで「闇の力のしもべ達よ」とか「美しさは正義の証!」とか「宇宙を照らす灼熱のきらめき! 」とか言っているのにあれだけ夢中になって見るのだから大丈夫でしょう、と思って読んでみたら全く問題ありませんでした。

 

時間については一日10ページって、正確に測ったことないですが、10分程度でしょうか。もちろん気持ちが乗ってくると50ページ以上読んでしまうこともありましたが、途中で寝落ちしてしまうこともしばしば。平均すると20ページ以下です。ハリーポッターはほぼ一年かけて読んでいたと思います。

 

読み聞かせは、子どもが成長する(かもしれない)のに加え、親も成長し、子どもと良い時間を共有できます。おまけにお金もかからず、そんなに時間もとりません。今現在彼女のベスト本は、“The Giver(ギヴァー)”なのですが、エッセイで「この本は、“no pain, no pleasure(苦しみなくして喜びはない)” という言葉を中心に愛について書かれている」と書いてあるのを見て、つい「そんなに早く歩いていかないで」と思ってしまいました。次に読もうとしているのは、Ray Bradburyの”Fahrenheit 451”みたいです。彼女がこの本をどんな風に読むのか楽しみです。

 

 

子どもはどんどん成長していってしまいます。3歳の娘、5歳の娘、10歳の娘に会うことはもうできません。一緒に時を過ごすこともできません。目の前にいるのは11歳の今の娘だけ。親はどうしても先を見てしまい、準備のために何かをする、ということをしてしまいがちですが、子育てにはその時でなければ楽しめないことが沢山あり、読書はその一つ。かけがえのない、この上なく豊かな時間だったと今振り返って心から思います。

 

では、今日はこの辺で。

 

 

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