「たくさんの体験をすること、そしてその体験をみんなのために還元すること」杉本真樹医師 インタビュー

 

この4月よりポラリスこどもキャリアスクール3期がスタートします。その中で登壇いただくナビゲーターたちの素顔を少しずつ紹介させて頂いています。

今回は、第2回のプログラム「命が見える、命に触れる。医療と人間の未来を変える最先端技術を探究しよう!」のナビゲーターとなっていただく、杉本真樹先生です。

医師でありながら医療の領域を超え、手術現場を中心に次から次へと最先端技術を使ったイノベーションを起こされている杉本先生。その活動は世界でも注目されています。そんな杉本先生が仕事をする上で大切にしているコンセプトは? 子どものころはどんな子だったのでしょう?

素敵なインタビューとなりましたので、是非ご覧ください!

 

<杉本真樹先生 経歴>

神戸大学大学院医学研究科消化器内科 特務准教授

外科医としての臨床経験を経てバーチャルリアリティや画像解析、手術ロボット、ナビゲーション、3Dプリンタによる生体質感臓器モデルなど、最先端技術の研究開発と医工産学官連携に従事。 医療関連産業の集積による経済活性化、科学教育、若手人材育成を精力的に行っている。 帝京大学客員教授、千葉大学特別研究准教授、群馬大学客員准教授を兼任。 2014年Apple社より世界でイノベーションをおこし続ける30名に選出。

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こたえのない学校: 現在のお仕事について教えてください。

外科医として臨床医をしながら、手術現場を良くするための医療機器開発を行っています。手術ナビゲーションシステムを開発したり、CT画像を使って、3Dプリンターで本物の臓器と同じ大きさ、重さ、生体質感を持った臓器模型を作っています。こうすることで、現場の医師がより上手に手術ができたり、患者さんが自分の手術や臓器についてより深い理解をできたり、よりリアルな手術練習ができるようになります。また、医用画像ソフトウェアであるOsiriXを開発して、低侵襲手術といって、より出血や痛みが少ない手術ができるようにしたり、手術ロボットの研究やバーチャルリアリティーなど最先端のテクノロジーを使った手術現場の改善に取り組んでいます。さらにプレゼンテーションや教育にも携わっています。

 

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こたえのない学校: 仕事で大事にしていること、大事にしてきたことを教えてください。

杉本先生(以下敬称略):お金のために働くのではなく、社会のために働くということがとても大切だと思っています。社会のためになることをしているとお金が後からついてくるのです。先に幸せを与えることが重要です。そうするとそこに人が集まってお金が後からついてきます。それを回すのが経済だと考えています。

 

こたえのない学校: 仕事の楽しさはどのようなところにあると思いますか?

杉本: そうですね。喜んでもらえたらシンプルにうれしいです。あと、自分じゃなきゃできないことができた時でしょうか。他の人でもできるのではなく、僕だから思いついた、僕だから出来るということ、それが社会に役に立ったときはとても嬉しいです。

 

こたえのない学校: 仕事で辛かったことはありますか?

杉本: 新しすぎて理解がされない時、最初はちょっと辛いです。でも(最初というのは)そういうフェーズだとは思うので、もう気にしなくなりましたが。子供たちにも、最初は認められなくても、ちゃんと社会にとって良いものであれば認められるときがくるということを伝えたいですね。

 

こたえのない学校: これからお仕事でチャレンジしたいことはどんなことですか?

杉本: 医療の領域を超えた部分でしょうか。昔から医領解放構想と言っているのですが、医療の領域を解き放つことを6年ほどやっています。医者が病院から出る、医者じゃない人が病院に入ってくる、そういう壁を取り払うことをどんどんやっていきたいです。僕のように医師免許を持ち、臨床経験がありつつも、外の世界が分かり、融合させていくような人が沢山出てきてほしいし、そういう人を育てていきたいと思っています。

 

こたえのない学校: これからの将来、どんな力が必要になってきて、どのように準備をすべきだと考えますか?

杉本: 一つの分野、得意分野は極めるべきだけど、それに固執しないということでしょうか。あと、プロと組むというのはとても大事なことです。その分野のプロフェッショナルが自分と組んだ時にメリットがあるというのが明確だと良いチームが組めるのです。そしてそれを実現するには自ら発信することがとても重要です。発信できるものを持っておく、発信できるように用意をするということです。 そして、社会にとって、今やろうとしていることの何が良いかというキーワードをちゃんと自分で用意しておき、しっかり伝えられるようにしておくのです。

また、発信すべき内容は、パッと出すときに出せることもとても大切です。だから僕はプレゼンテーションも教えているのです。それは上手にプレゼンをしなさい、ということではないのです。いつでも上手にプレゼンができるように準備をしておきなさい、ということです。

 

こたえのない学校: 小さい頃どんなお子さんでしたか。

杉本: 小さいころは、まぁ、やんちゃでした(笑)

地下鉄探検や、いたずらもやりました。でも、実は子供のころは神経質でした。大人になって成功するようになって、「まぁ、いいか」と思うようになりました。今でも気にしない、ということではないんです。でも、気にしなくてもいいことがわかるようになってきたのだと思います。気にしなくていいことと、気にすべきことが分かるようになることは重要ですね。

 

こたえのない学校: 子どものころに熱中していたことや好きだったことはなんですか?それは今に繋がっていると思うことがありますか?

杉本: コンピューターは好きでした。機械が好きで、ラジオを分解したり、はんだごてが好きな子供でした。エンジニアリングが好きだったので、それは今につながっていると思います。また、算数も好きでしたね。公文を僕はカリキュラムの最後までやってるんです。実は最後までやる子はあまりいなくて、表彰されました。エンジニアリングにつながるような算数や数学が好きだったこと、今につながっていると思います。

 

こたえのない学校: 今の小学校の子どもたちへのメッセージ、お願いします

杉本: 今、情報はあふれているので、子供のうちにいろいろ情報を集めること。あと、沢山の体験をすること。山登りもそうですが、登って初めて分かることがある。登らなきゃわからない。体験しろ、って思います。そして、その体験を自分のものだけにしないで、みんなのために還元してもらいたいですね。

 

Sugimoto Maki Interview

 

<インタビュー後記>

このインタビューはSXSW(サウスバイサウスウエスト)というアメリカ最大級のメディア・テクノロジーイベント開催中のアメリカオースチンで行いました。先生は、医療の世界で活躍されているだけではなく、オフの時には、Extreme Ironingというクレイジーともいえるスポーツをしたり、プレゼンテーションの技術を広めるために数多くの講演をされています。まさに文字通り医療の領域を超えた活動で世界中を飛び回られている杉本先生。貴重なお話しを聞かせていただき、ありがとうございました!

 

杉本先生について、もっと詳しい内容を知りたい方はこちらから

@TEDxFukuokaChange

https://www.youtube.com/watch?v=GU5EZAj01C0

Extreme Ironing

https://www.youtube.com/watch?v=79nrlkVcUAI

 

<こたえのない学校とは?>

新しい価値を創造する力をグループワークの中で子どもたちが自ら身につけていく、「探究する学び」のフレームワークを使ったプログラムの開発・実施を行っています。今回杉本先生にご登壇いただくのは、次世代型キャリア教育プログラムとなる「ポラリスキャリアスクール」で、年2期特定のキャリア分野をテーマにプログラムを実施しています。

 

こたえのない学校HP

https://kotaenonai.org/

ポラリスこどもキャリアスクール3期「医療」

https://kotaenonai.org/news/event/713/

※3期のプログラムは現在申し込み多数により満席となっております。キャンセル待ちをされる方は上記のURL のお申込みページから「キャンセル待ち」としてお申込みください。もしくは、今後のプログラムのご案内、関連教育情報等はメルマガで基本差し上げています。

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