【開催報告】なぜ人も動物も寝る必要があるの? 睡眠の不思議を探究しよう!

 

昨年12月、ポラリスこどもキャリアスクール4期、最終回のプログラムを実施しました。

第一回AI第二回ミクロの世界(量子論)と来ましたが、3回目のテーマは、「睡眠」です。

ポラリスナビゲーターは筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の小川雪乃先生です。

先生のインタビューはこちらから。

今回は、小川先生の伝えたいメッセージ「私たちがよりよく生きるための補助線として科学がある」をセントラルアイディアとして、睡眠研究の最先端の事例を見ながら、そういった研究がどのような私たちの睡眠の悩みを解決していくのかを見ていきました。またそうした取り組みがビジネス化することで、何か問題が起きていくのかを考えていきました。その背景には、私たちがどのように睡眠と付き合い、生きていけば、幸せになれるのか、という本質的な問いがあります。

最後のプレゼンは、人の睡眠に関わるビジネスを考えつつ、そこから描ける世界。実現してしまったらなにか怖いことが起きそうならその可能性にも言及してもらいました。さて、みんなからどのようなアイディアや考えがでたでしょうか? プログラムの詳細をご案内します。

 

 

【小川先生の行っている研究とは?】

小川先生は、世界トップレベルの睡眠専門の研究所である、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構で働いています。

ここで、先生は、寝たり起きたりに関係する神経細胞についてマウスを使って調べていますが、脳の神経細胞の数や分布を調べたり、神経細胞の電気的活動を調べたり、マウスの脳波を調べたりしています。

そんな小川先生が冒頭に睡眠クイズをしてくださりました。

 

眠らない動物はいない。

イルカは泳ぎながらでも眠る。

昆虫は眠る・・らしい。

 

そして、動物によって眠る時間が長かったり短かったりすることを教えてもらいました。ウシ、ヒツジ、ウマなど草原でねらわれやすい動物は寝ている時間がとても短く、5時間も寝ていないのです。

 

 

【世界最先端の睡眠研究を見てみよう!】

睡眠の仕組みや調べ方を教えてもらったところで、次に世界最先端の睡眠研究にはどんなものがあるかを紹介してもらいました。

 

-勉強した後にねむると覚えたことが身につくってホント?

-睡眠学習って出来るの?

-環境が変わると睡眠も変わるのかな?

 

こういうことについて世界の科学者は研究を進めているのです。

ところで、ナルコレプシーという病気は知っていますか?日中なのに、場所や状況を選ばず起こる強い眠気の発作を主な症状とする睡眠障害なのですが、この障害に苦しむある人のビデオを見て、なにがこの病気を引き起こすのか、その原因の発見で何が出来るようになったかを考えていきました。

実は、1998年(18年前)に目をさますことの維持に重要な神経ペプチド、オレキシンが発見され、オレキシンがなくなるとナルコレプシーが引き起こされることが判明したのです。

こうした研究が進むと、睡眠に関わる病気を治したり、睡眠のコントロールにつながる薬を開発することができるのです。

 

【睡眠に関する研究を使ってビジネスを考えてみよう!】

では、ここでいよいよプレゼンテーションの準備をしていきます。科学はどのように有効に私たちの生活に使われるのでしょうか?使い方によってはかえって社会に悪い影響を与えてしまうのでしょうか?グループのみんなで考えてみます。

お題は、「睡眠に関する研究を使ってビジネスを考えてみよう!」

前半で教えてもらった研究の結果を利用しながら、ビジネスを考えてみます。その上で、ビジネスへのメリット・デメリット、社会に与える影響のメリット・デメリットを考えてみました。

結果はどうだったでしょうか?

 

 

1班:すいみんホテル

睡眠不足で悩んでいる人が眠りに来たりするホテルです。音や映像、ベッドや寝具の工夫でぐっすり寝れます。環境による睡眠の質の違いにこのグループは着目しました。

小川先生からは、「具体的で素晴らしい提案です。こうした工夫を取り入れているホテルが実際に出てきています。設定に関して、音や映像以外にさらに付け加えると効果的かなと思ったのは、照明ですね。照明も睡眠に大きく影響をしているのです。」とコメントをいただきました。

 

2班:ドラッグ株式会社

この班は、ナルコレプシーの症状からヒントを得た、オレキシンを使った睡眠障害のための薬を2種類発売するの会社を考えました。でも、ナルコレプシーの患者は少ないので、儲かるのかな?ほかにもっといい薬が出たらどうなるんだろう?と考えました。

小川先生からのコメントは下記でした。「ナルコプレシー患者さんのための薬の開発も、実際に研究されています。提案された薬はどちらもオレキシンと同じ作用をする物質でできそうなので、同じ成分で2種類の薬を作りだせそうですね。薬に関しては、副作用のことも考える必要があることが注意ポイントです。さらに、睡眠薬の場合は、「水に溶けてはいけない」というルールがあるのです。水に溶かしてわからなくなってしまった状態で悪用されてはいけないからなのですが、こういうことも製薬会社は考えているのです。」

 

3班:ねながら学校

3班は、でました。寝ている間に学習できる「ねながら学校」です!よく眠れるように宿題は運動すること。昼の部と夜の部があるそうです。生徒も楽で、脳が活性化し、頭がいい人が増えるかも?あまりにいい学校だったら、先生の仕事がなくなってしまう!?

小川先生からは、「学校という形での応用は、まだ全くない新しい発想ですね。学習の仕方が広がる、可能性あふれる提案です。一方で、寝ている間は無防備になってしまうから、自分がわからないうちに、よくないことを教え込まれたりしてしまう危険もあるので、そんなことにも気をつけたいですね。」とコメントがありました。

 

【小川先生からのメッセージ】

最後に小川先生からは、自分が『楽しい』と思うことに向かっていってください。そこにいろんな可能性を想像して、表現してみたら、それが世界の未来になります。そして、しっかり寝て、夢を見続けてください。とメッセージをいただきました。

小川先生、ありがとうございました!

 

 

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