5月17日、ポラリスこどもビジネススクールの第二回が開催されました!
今回のナビゲーターは、工場及び本社は開催場所のIID世田谷ものづくり学校内にあり、ネットで一斤1500円以上というとびきりの高級パンをネットのみで販売するルセットで、販売マネージャーをされている赤星慶浩さんです。
ルセットさんはこういいます。パン職人はアーティストであり、クリエーターだと。“パンの価値を高める” という想いを胸に、一切の妥協なく、120%のチカラを出し切り、美味しいパンを生み出し続けています。パンの既成概念を覆すようなこのお店はどうやって生まれたのでしょうか? 一つ3000円から1万円以上もするパンの魅力をどうやって伝えて、ファンを増やしてきたのでしょうか? そもそも、このとびきりのパンはどうやって作られているのでしょうか。
その謎に迫りつつ、今回は、赤星さんが販売マネージャーとして一番大事にされている「感じて、それを表現する」ということをワークを通して学んでいきました。
作成したプレゼンテーションは、「ルセットパンの価値を伝える宣伝広告作り!」
1階にある工場を見学したり、パンの生地を触ったり、試食もして、パンについてたくさん感じた後に、五感を駆使して、宣伝をつくりました。
2回目となって、だいぶリラックスした様子の子供たち。素敵な広告ができましたよ!
■プログラム詳細
<ルセットってどんなパン屋さん?>
赤星さんが販売マネージャーとして携わる「ルセット」というパン屋さん。「ルセット」というのはフランス語で、「レシピ」という意味だそうです。このパン屋さん、その辺によくあるパン屋さんとは大きく違いがあるのです。
☆ 材料を惜しみなく使って最高級のパンを作っている
☆ インターネットのみで予約販売しかしていない
☆ 値段が高い!
そして、パンを持ってきてくれました。「さて、このパンはいくらでしょう?」
「1500円!」(プログラムの題名にあったからですね笑)
「3000円!」
さて、、答えは「3394円」でした。そして、一番高いパンはなんと、1箱12000円もするんだそうです。子供たちからも思わず「えー!」の声が上がりました。
なぜこういった値段になるのだろう?子供たちの意見を聞いてみました。なかなか鋭い意見がでます。
「原材料、人件費、発送料が高い!」
「美味しいから!」
「最高級素材を使っていると、高くないと儲からないから…」
「安心は美味しいというブランド力があるから!」
「アレルギーの人にも安心だから。」
そして、
「長年コツコツとやっていることで、ブランド力・付加価値がある」
という大人顔負けの意見もありました。
さて、ルセットの誕生秘話です。
パンの大好きな女性がいました。彼女はパンは大好きでしたが、パンの専門家ではありませんでした。でも、ある日彼女はふと思います。
「パン屋で、パンは、100円・200円という値段で当たり前のように売られているけど、それはなぜなのだろう?これでは、働いている人のお給料も考えると本当に安い材料しか使えないのではないかしら?」
「パンは、100円でなければいけないのだろうか。200円、500円、1000円でもいいのではないのかしら? ケーキは、100円のものもあるけど、600円のものも1000円のものもある。パンも(ケーキと同じで)高い値段のものも、本当に良いものなら欲しがる人はいるのではないかしら?」
周りの人がどう考えようとも自分は納得がいかないということもあります。その違和感こそがルセットのスタートでした。最高の材料を使って、最高の作り方で、最高の状態でお客様にパンをお届けする…というルセットの挑戦はここから始まりました。
さて、こうして生まれたルセットのパンは、今インターネットで全国のお客さんに配送されています。生産が間に合わなくて、13ヵ月待ってもらったこともあります。熱烈なファンに支持されているルセットのパンをどうやって届けているのか。工夫をお伺いしました。
・インターネットなので、一番人気の商品を一番上の目立つところに配置する。
・パンの色をイメージして、分かりやすく色と一緒に表示する。
・発送するときに、「わ!」と喜んでもらえるように演出する。デザートパンはケーキみたいな箱に入れるし、パンを包む紙は特注で作っている。
・シールもななめに貼ると大切なものだと思ってくれない。とても気をつかってラッピングしている。
<写真:ルセットのパンのイメージ>
こうして素敵な箱に入れて出荷されます。
感じて、それを表現することがとても大切だとお話を伺いました。
<ルセットのパン、まるごと体験!工場見学、生地を触る、そして試食>
さて、いよいよルセットのパンを丸ごと体験していきます。五感をフルに活用して、パンを感じてみましょう。
まず工場を入口から見学。ルセットのパンは米由来の酵母を使って発酵させているけど、酵母はとても繊細なので、湿度や気温にとても気を遣うので、毎日毎日チェックしていること、パン生地が心地よくいられるようにモーツアルトを聞かせていることなど、いろいろ教えてもらいました。プーンと香るパンの匂いが食欲をそそります。
子供たちからは「いい匂い!」との歓声が出ました。
「(パンの混ぜ機を見て)何個一日作れるの?」「(扇風機で冷ましているのを見て)どのくらい冷ますの?」「材料は決まったところから買うの?」「どんな人が買ってくれるの?」
子供たちの質問は尽きません。ちなみに、一日作れるのは100個で、4回に分けて焼くのだそうです。
教室に戻って生地も触らせてもらいました。
「やわらかい~!」
「モッチモチだ」
「伸ばすとうすーくなるね。」
「お母さんもパン作っているんだよ。」
「手にくっつくよ」
「あったかいね」
<ルセットの広告を作ろう! プレゼンテーション>
そうしていろいろな視点からまるごと感じたルセットのパン。
「ルセットパンの価値を伝える宣伝広告作り」に挑戦します。
以下のようなことをグループのみんなと話し合いながら、力を合せて広告を作っていきます。
・五感(見る・音・におい・味・手ざわりなど)をフルに使って、「感じたこと」をたくさん言葉にしてみよう。
・いつも食べているパンとのちがいがあれば、何がちがうか考えよう。
・ルセットパンのいいところ(「売り」)はどこか、考えよう。
・ルセットパンを買うユーザープロファイルを考えよう。
・自分が「感じたこと」をヒントに、ことばを使って。
・キャッチコピー、絵、詩、どんな表現方法を使ってもOK!
そしてパンも試食。子供たちの反応は?
(食べた瞬間)「美味しい!!」
触ってみたり、匂いを嗅いでみたり。
パンに耳をあてて聞いている子もいました。「モーツアルトは聞こえなかったよ!(笑)」
「外はパリっとしていて、中はふわふわだ。甘いね。」
「生地と同じ匂いだけど、香ばしい感じ。」
「(バターは入っていないけど)バターみたいな匂いがするね。」
さて、みなさん読むだけでおなかがすいてはきませんか?
広告はグループのみんなと協力して作っていきます。
「(時間がないから)場所を分けて分担して、デコレーションしよう。キャッチフレーズを真ん中に書かない?」
「最初に言うことは皆で声を合せていわない?最後のまとめもみんなで一緒に言おうよ」
ちょっと斜めに構えていた子も、役割を振られて、他の子に褒めてもらって嬉しそうな顔をする場面もありました。
さて、発表です!
グループ1:
「工房はとてもいい匂いがします!」
「美味しいよ!買ってみたら得するよ!」
グループ2:
「買ってみたルセットのパン。最高だ!」
「3000円のパンは買ったことがありますか?」
グループ3:
「13か月待ちのパン、今日もお試し下さい!」
グループ4:
「匂い:なぜか我が家の匂いがした。」
「男よ、これを買って彼女に教えて!(ユーザーは女性だけでなくて、男性にも!)」
赤星さんの話、自分たちが五感で感じたことがちゃんと生かされていました。
ビジネススクールは2回目、体験プログラムを含めると3回目の子も何人かいて、だんだん即興で、役割分担を決めたり、お友達の話を聞きながら意見をまとめていくような様子を見ることができるようになってきました。
<赤星さんからのメッセージ>
さて、今日のポラリスナビゲーターとなってくださった赤星さんは、京都生まれ。サントリーの山崎工場の近くで生まれ、通っていた幼稚園には、お酒の匂いがしていたそうです(笑)お姉さん、妹との3人兄弟で、マイペースでうるさい子だったそうです。
山が季節によって、姿を変えること、桜がきれいだったこと。捨て猫を飼いたくって飼えなかったこと、アイスクリームを落としてしまったこと…。この時たくさん感じて、経験したことが今の仕事にとても役に立っていて、すべてが今の自分につながっているとのこと。
赤星さんは言います。
「自分にとっての価値を大切にしてほしい」
「感じることの素晴らしさを是非知ってほしい。」
「他の人がどれだけ感じているかではなくて、「自分が」どう感じたか、その感じたことを持ち続けていることが重要。なーんとなく感じていること、言葉に出来ずモヤモヤしているけど、そんなこともとても大切な意味を持っています。是非自分の感じたことを大切にしてください。」
「みなさんが感じていることは一つ一つ皆さんに大切な引出しになっていきます。自分のことを良く知って、人と関わり合い、人と心を繋ぎ合わせてほしいと思います。」
赤星さん、ありがとうございました!
<プログラムレシピ>
1)セントラルアイディア
「”販売”とは顧客に価値を伝えることである」
(商品の価値を感じ、表現することの大切さ)
2)探究の流れ
A)ものの価格には理由がある
B)販売するものには沢山の見え方、感じ方がある。
C)商品の特徴の観察と表現
3)キーコンセプト
「causation」「perspective」「form」
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