home > Blog > プログラム報告 > 「ほかの国の人助けでとっても大事なことってなんだろう?」開催報告

 

ポラリスこどもキャリアスクール6期「グローバル」もあっという間に最終回。
ビジネス、戦争に続いて、今回は国際協力というテーマからグローバルを考えました。

【オープニング】
今回の事前課題は、自分が助けられたとき、もしくは助けられたときのことを振り返るもの。
いつものようにグループに分かれて話をします。
3回目ともなると、課題の話だけでなく、今日はどんなことを知りたいか、チャレンジしたいかについても話が膨らみます。

例えば・・・

<今日知りたいこと>
・日本は何か国ぐらいを支援しているのか?
・ネパールの現状について知りたい!

<チャレンジしたいこと>
・チームの意見をまとめる
・意見を出す
・クイズ形式で発表をやってみる

など。

そして、この日のポラリスナビゲーターは薄井大地さん。
海外の貧しい国の子どもたちに教育を届けているNPO法人e-Educationで、事務局長としてお仕事をしている方です。

実際にどんなことをしているのか、活動の出発点となったバングラデシュという国のことからお話してくれました。

バングラデシュは、日本より面積が小さいけれど、人口は日本より多い。
そして、子どもたちが多くて、先生の数がなんと4万人も足りない!
そんななかでも勉強をしたくて、電気が通っていない家の人は、夜に街頭の下で勉強するほどだそうです。
それは、良い大学を出て良い会社に入り、家族を助けるため。

でも、お金がないと大学受験もできない・・・
「勉強したい!!」と泣きながら訴える人たちがいる話に、みんなも聞き入ります。

 

と、ここで、薄井さんからみんなに質問。

「成績は優秀だけれどお金がないから勉強できない人たちを、どうしたら助けられるかな?」

教えてもらったバングラデシュの国の様子を思い出しながら、グループでアイディアを出してみよう!

アイディア出しにも慣れてきたみんな。
ポストイットにアイディアを書き、壁やホワイトボードに貼って、アイディアがどんどん出てきます。

「大学の費用を下げる」
「誰かに頼む」
「アルバイトをする」
「村で一人か二人が勉強して家庭教師役をする」
「ネット検索をする」
「宝くじを当てる」
「お金を稼ぐ」
「塾を近くに作る」
「日本の学校に入学させてあげる」
etc.

 

みんなから出たアイディアに、「すごいね!」と薄井さんもびっくり。
薄井さん自身の考えに近いアイディアもあったとのこと。

 

では、e-Educationさんは具体的にどのような支援活動をしているのでしょうか。

みんなも考えてくれたように、学校を建てたり先生を雇ったりできるといいよね。
でも、それにはお金もたくさんかかる。

そこでどうしたかというと・・・

ジャーン!
と画面に映しだされたのは、テレビでもよく目にするアノ先生の写真。

「あ!林先生だ!!」
とみんなも盛り上がります。

そうです。テレビでもよく目にする林修先生。
ちなみに、林先生の授業が映像(DVD)授業になっていて、たくさんの人がそれを観て学んでいることは知っていますか?

 

e-Educationさんは、バングラディシュで有名な先生の授業DVDを作ろう!と思いつきました。

 

そうすれば、いつでも何回でもパソコンで授業を観ることができます。

 

結果、一年目で18人もの生徒が大学に合格!
今では、難関大学合格者数が150人を超え、バングラデシュ以外の国にも映像授業を届けているそうです。

 

【助けるときに大切だったことは?】
薄井さんたちが支援をするときに大切にしていることも、教えていただきました。

一つは、みんながさっきアイディアを出してくれたときのように、
「どうせムリ!」と決めつけずに考え、行動すること。

もう一つは、助ける相手の人たちの声を聞いて、考え、試すこと。
e-Educationさんは自分たちの勝手な印象や予想でDVDを作らないよう、事前にテストをしたり、苦手な科目を生徒たちに聞いて話し合ったりしたそうです。

こうした姿勢が支援の成功につながったのですね。

 

【助けるときの失敗例から学ぼう】
逆に、せっかくの支援が残念な結果になってしまうこともあるとのこと。

例えば・・・

●「きれいな水が飲めるように井戸を作る」
⇒「壊れた後、直し方がわからず、使われなくなった」

●「学校にパソコンやプロジェクターなどを寄付」
⇒「使い方がわからず、使われないまま」
※e-Educationさんはこうしたパソコンをうまく活用して、授業DVDを観てもらうよう工夫しているそうです

など。

グローバル1回目・2回目にも出てきた「相手を知る」ということ。
今回のテーマでも大切なポイントになっているのですね。

 

 

休憩をはさんで後半は、ネパールという国のお話。
前半のバングラデシュと同じところ、違うところはなんでしょうか。

 

まず、みんなの学校は1クラス何人ぐらい?
ネパールでは、1クラス80人!

「えー!!それ、一年生全員だよ・・・」

具体的な数字を聞いて、みんなびっくりです。
ネパールでも、先生の数が全然足りていません。

しかも!
ネパールは、高校を卒業するための試験に合格するのがとても難しい!

さらに!!
2015年の大地震で多くの学校や教室が壊れてしまいました!!

そこで、e-Educationさんは、バングラデシュと同じように、ネパールでも授業のDVDをつくって支援を始めたそうです。

しかし、ネパールでは、国の中に仕事がなかったり、お金がないと大学に通えなかったりして、DVD授業だけではうまく支援できない人がたくさんいることがわかりました。

 

【ネパールの若者に希望を!】
ここで、今回のミッション発表。
e-Educationのスタッフとして、ネパールでの課題を解決するアイディアを考えてください!

グループでプレゼンテーションしてもらう内容は、次の4つです。

✔︎ 何に困っていると考えたか
✔︎ 問題を解決するアイディア
(いつ、どこで、だれに、何を、どうする?)
✔︎ 薄井さんにアイディアについての意見をもらって、どう考えたか、どう変えたか
✔︎ 今のアイディアのポイントと課題


まずは、何に困っていそうか、書き出してみよう。
​解決するアイディアは、前半のワークでバングラディシュについて考えたことも活かせそうだね。

自分たちの考えを整理しているうちに、もっと知りたいことも出てきます。
薄井さんに質問してみよう!

●工業は盛んなの?
⇒工業は盛んではないけれど、農業と観光が盛んだよ。

●外国人は来るの?
⇒他の国の人が来るハードルは低いよ。

etc.

自分たちのアイディアについて、薄井さんから意見をもらうことも今回のポイント。
自分たちの予想や思い込みで進めるのではなく、相手の声に耳をかたむけて、より深く考えたり、アイディアを変えたりしていきます。

「第1次、2次、3次産業で学校を分ける」「教師専門学校を作る」・・・
学校についてのアイディアもより具体的になってきていますね。

「都市部のお金持ちに先生の魅力を伝えるのはどう?」
⇒「そのためにはどうしたらいいと思う?」
という具合に、質問が返ってくることも。

そのほか、「親への教育も必要なんだ」という話が出るなど、
薄井さんからのフィードバックで、みんなの視点も広がっていきます。

【プレゼンテーション】

A:何に困っていると考えたか
B:解決アイディア
C:薄井さんとのやりとりで分かったこと・考えたこと・変えたこと
D:アイディアのポイントと課題

 

<1班>ネパールの若者を助けよう

A⇒B ※C
(1)お金がない
⇒海外で稼ぐことができた人から大学に行けない人にお金を渡す
※他の国からお金はすでにたくさん渡していると聞いた。
これ以上あげてもあまり変わらなさそうなので、他の国からお金をあげるアイディアはナシにした。

(2)勉強する意味が分からない
⇒勉強すれば海外で命にかかわる仕事をしなくてよいと伝える
※勉強すると給料のいい仕事につけるのかと思っていたけれど、給料は変わらないとのこと。
なので、「命を危険にさらす仕事はしなくていい」という伝え方に変えた。

(3)仕事がない
⇒e-Educationの先生になってもらう
※ネパールで仕事を増やすということをもっと具体的にして、大学卒業の人をe-Educationの先生として雇うというアイディアを考えた。

D
「勉強するかどうかは生徒が決められること」と「先生になれば地元で働くことができること」がポイント。
「お金については人任せなこと」と「『それでも若いうちから働きたい』という人には何も言えないこと」が課題。

<2班>ネパールの人たちのために

A
お金・仕事・先生・やる気の全部が足りない。
お金は、一軒家を建てるのに大統領の一年分の給料が必要なほど足りない。

B
お金持ちから税金としてお金を集め、先生の給料アップ

みんなが先生になるために勉強

先生が増えるので、この先生たちに、他の人たちも先生になれるように勉強を教えてもらう

識字率を100%近くまで上げ、インターネットで勉強できるようにする

一つの村につき、一人のパソコン名人と一台のパソコンを配置し、先生以外の仕事も発展させていくことができるようにする

C
お金持ちを納得させるアイディアを考えた。この生産が成功したら、お金持ちの人に借りた金を返す。

D
・税金をとりすぎて、お金持ちが破綻しないようにする。
・お金持ちを納得させるために、国が証文を発行する。
・格差社会を作らないようにする。

聞き手からの質問もありました。

「ネパールにはお金持ちがどのぐらいいるのですか?」
⇒「都心にはいっぱいいます。田舎にはあまりいないです。」
「都心に多いお金持ちが田舎の問題を理解しますか?」
⇒「うーん。田舎から都心に出た人もいると思うけれど・・・」

このあたりも課題の1つになってくるかもしれないですね。やりとりのなかで、アイディアがさらに練られていきます。

 

<3班>

A
ネパールの子どものうち小学校に行く人は91%で、中学を卒業するのは70%。なんと21%も減っている。この21%は外国に出稼ぎに行っている。
出稼ぎに行く人を減らし、先生になりたい人を増やしたい。

B
先生になる魅力を伝えるターゲットは都市部。なぜなら、田舎の人よりお金を持っていて、人もたくさんいるから。
魅力はテレビCMで伝え、林修先生やネパールの先生に出演してもらう。

C
先生になるのにはやはりお金がかかってしまう。この点はもう少し考える必要がある。

聞き手からの質問も色々と出ました。
「ネパールで林先生のCMって、効果ある?」
⇒「知名度を上げていきます!(笑)」
「田舎での問題なのに、都市部ターゲットでいいの?」
⇒「都市部で先生になった人に、田舎へ移ってもらいます!」

 

<4班>

A
仕事・先生・大学・お金が少ない。

B
・近くの国からベンガル語(ネパールの言葉)を喋れる人を呼んでくる
・家族で教え合う
・塾を近くに作る
・日本に入学させてあげる
・先生の学校をつくる
・日本の勉強を教える
・学校をたくさん作る
・電気をあげる
etc.

C
分かったこと
・工業はあまり盛んではなく、農業と観光は盛ん。
・給食がある学校は少なくて、午前中の授業が終わったら、家に一度帰り、そしてまた学校に行く。
・スーパーはない。
・本は貴重で高いので、ゆとりがないと買えない。

変えたこと
・先生の専門学校を増やすというアイディア
⇒アイディア自体はよいが、小学校の先生の学校と中学校の先生の学校を分けることにした。
・Googleの会社を作るというアイディアも出て、賛成と反対に分かれていた。
賛成派:Googleの技術も伝わるし、働く場所も増える。調べ物もできる。
反対派:実際にできるか、現実的か。そもそも、Googleの会社が賛成してくれるのか。
⇒大地震で学校が壊れているので、Googleの会社ではなくて、建設の会社に変更してもよいかもしれないと考えた。

D
現実的か、実際に出来るのかが課題。

このほか、ネパールの先生不足の数も三択クイズで盛り込みました。答えは、「2万人」。
ネパールでの数字も薄井さんにしっかり確認していたのですね。

 

<5班>ネパールの暮らし

A
ネパールの子どもたちは、村を助けるために出稼ぎにどうせ行かなければならないから、「勉強しても意味ない」と思っている。子どもたちが大学などに行かないので村が貧しいままで、ずーっと変わらない。

B
最初にチャリティイベントなどでお金を集めてネパールに寄付する。そのための会社を作る。そして、ビデオ授業で大学にいくことが良いことだとアピール。その後は、色々な仕事を作る。

C
村の人の声
・たくさんの支援をしてもらっても、「自分たちは幸せかな?」と疑う人もいる。
・病院がなく、家族の一人が病気になったら、そのためにお金をたくさん使い、生活がどんどん苦しくなる。
・学校が遠い(1時間かかる)⇒あきらめる

D
チャリティイベントで集めたお金で会社を作ること、ビデオ授業で大学に行く魅力を伝えることがポイント。

そのほか、ネパールの都市部と村の状況の差、出席率の低さや退学率の高さなど、具体的な数字を挙げながら詳しく説明してくれました。

 

 

今回も、各グループそれぞれの個性が出た内容でしたね。

複数の問題が絡み合った状況を3つの視点から分かりやすく整理し、それぞれの解決策を考え深めた1班。
お金持ちとのやりとりを中心に、失敗例からの学びまでふまえて細部まで考えた改革プロセスを語った2班。
都市部をターゲットにメディアを活用する提案をし、質問にはユーモアある切り返しをした3班。
自分たちの生活・身近なものと現地の生活・状況などを結びつけながらアイディアを出した4班。
村人の声からも、数字データからも問題の深刻さを確かめ、継続的な支援ができるよう考えた5班。

3回ともメンバーを変えてのグループワークでしたが、プレゼンテーションや質疑応答にも少しずつ慣れていきました。

 

そして、最後に薄井さんから、みんなのプレゼンテーションに対するコメントと、国際協力についての想いをお話いただきました。

 

******

みんな、色々なアイディアを考えてくれて嬉しかったです。
例えば、Googleのような会社を作るなど、私たちも参考になるようなアイディアがありました。

私は、こうした国際協力は、一方的な支援だと思っていません。
今日の前半で紹介したバングラデシュは、東日本大震災のときに日本を支援してくれました。

他にも、トルコという国では、昔、日本近くの海で船(エルトゥールル号)が沈んだとき、乗っていたトルコの人たちを日本人が助けてくれたという話が、今でもよく知られているそうです。
その恩をずっと大事にしていて、イラン・イラク戦争が起こったときには、日本人が避難できるよう、トルコが飛行機を飛ばして助けてくれました。

こんなふうに、
「双方向のつながりをつくる」
それが国際協力なのではないかな、と思っています。

*******

 

薄井さん、ありがとうございました!

 

◆今回のセントラルアイディア◆
「『どうせ無理!』を疑って行動し続けることが適切な支援につながる」

 

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