22日、世田谷ものづくり学校との共催で「ロボット研究者と一緒に目の不思議を実験しよう!」のプログラムが開催されました。
今回探究するテーマは、「ものの見方は一つではない」です。
東北大学大学院で、目の機能を中心とした人工知能の研究をされている松田雄馬さんと一緒にいくつかの実験をしながら、一緒に「人間が目で見るってどういうこと?」「人によってものの見え方が違うこと」「見え方の違いは考え方の違いであること」を探究していきました。
そうした中で、「ロボットと人間の違いは?」「人間にできてロボットにできないことってなんだろう?」と考えていきます。
行ったワークは以下の3つです。
ワーク1: 目隠しモノ当てゲーム
グループ全員で目隠しをして、メンバー同士で自分が持っている「モノ」について言葉で説明して、 お互いがどんなモノを持っているかを探ります。グループに渡された道具の数は何個かな?
ワーク2:この絵、何の絵、どう見える?
いろいろなだまし絵を見て、どうやって見えるか話し合います。
ワーク3:絵巻物語作り
1枚の絵が何に見えるか考えて、それらの絵をつなげて、1つのストーリーを作ります。
ワーク1では、「身体の機能が補い合うこと(視覚が使えないときには触覚など他の五感を使う等)」を実感することで身体機能について学びます。ワーク2では、目が見えていても、ものの見え方は一つではないという視点の違いを感じていきます。最後のワーク3では、5枚のだまし絵をつなぎ合わせてストーリーを作ることで、同じ5枚のだまし絵を見ても、グループごとに全く違ったストーリーが生まれることから、見え方の違いが考え方の違いになるということを実感しました。
特にワーク1とワーク3は、グループのみんなと協業して、一つの考えを表現していきます。リーダーシップをとる子、調整役になる子、人が嫌がるシートを拾ってみんなを助ける子など、みんなそれぞれの素晴らしい動きをしてくれました!
下記詳細です。
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いよいよ、プログラムスタートです!
まず、松田さんと一緒にドラえもんの魔界大冒険の映画の一部を一緒に見て、「魔法が使えると何か人の生活は変わるのか?」について、考えていきます。
みんなの意見は・・
「便利に生活できる、苦労しないでなんでもできると思った、でもそうはならなかった」
「のび太はのび太のままで、やはり魔法は使えなかった」
「道具も買わなきゃいけないし、魔法の勉強しないと一流の大学にも入れない・・・」
松田さんは言います。「魔法はできた。でも、世界は変わらなかった。これは(技術革新が起きても世界は変わらないという意味で)実は私たちの周りで起きていることと一緒。世界が変わらないなら、何が必要なんだろう?」「ここでどうして?なぜ?って考えることがとっても大事なんだ。」
次に階段でロボットが転んでしまった映像を見て、「なぜ転んでしまったのか?」をみんなで考えます。
「足の裏のセンサーがはずれちゃった!」
「足を上げたときにどこにいるのかわからくなっちゃった」
「足の裏のセンサーの予想がはずれちゃった」
「階段の幅や大きさを計算して、プログラムしたら登れたんじゃないかな。」
「でも全部プログラムしてたら災害現場で何が起きるかわからないよ!」
「遠隔操作だったら転ばなかった。足のセンサーだけでなくて、人間みたいに目でも感じればよかった」
松田さんは言います。
「今みんなが言ってくれたことは、実は科学者が学会でお話していることと近いんです。 プログラムでこんな風に上れるのか? それとも感覚を入れていかなければいけないのか・・・これは科学者の間でも決着がついていない。でも、少なくとも言えることは、プログラムを書くだけでは、ひょっとしたら小石が落ちているなど、自分で考えて対応することができない。だから、考えるってどういうこと?ってことを考えていかなければならない。目で見て歩くってすごいんだよ。」
目隠しゲームやだまし絵を見たワークで、目のできることの限界や、同じものが人によって違うように見えることを体感した上で、最後にだまし絵5枚を渡され、グループでストーリーをつくることになりました。同じ5枚の絵を見て、みんなどんなストーリーを考えるでしょうか!?
結果は・・・みごとにバラバラです。
グループ1:アングリーバードが魔法をくれて、おじいさんが若返って、積木の国を作る話
グループ2:恋人たちが親に反対されながらも、結婚して子供を産む話
グループ3:ばかなお坊さんが小人に頼んで町を作る話
グループ4:地球に来て水浴びをしようとした鳥が、お風呂みたいなワインにたどりつく話
たとえば以下の写真。
・水の中に行きなさいというサイン
・バカなお坊さん
・悩んでいる恋人
・雨
この写真も・・・
・恋人たち
・砂時計(時間が戻る魔法の)
・お風呂みたいなワイン
さらに、あるグループではこの写真は、男の人と傘に見えたり(わかりますか?!)、壺から出た煙に見えたり、ティアラをかぶった女王様に見えたりしていました。子供たちの発想はとまりません。
松田さんは言います。
「こうでないかな?というストーリーができたらそれを軸に想像をふくらませて自分たちで考えた」「こうかもしれない、と考えることで歩くこともできるし、生活を充実させ、生きていくことができる。実はこんな風に人間の脳はできています。」
みんな、このプログラムを通して、「考えることの重要性」「人によって見え方が違う」ということ、実感できたでしょうか。
最後に感想を書いてもらいました。
「はじめはあまり来たくなかったけど、友達が増えて、目の仕組みがわかった!」
「楽しかった。また来たい」
「やっていていろいろなことがわかった。またやりたい」
「またやりたいです。人間とロボットの違いがわかった」
「ロボットの目の仕組みも人間の目の仕組みもわかって楽しかった」
「目隠ししてなんのものかを当てるゲーム楽しかったです。またきたいです」
「人それぞれちがってておもしろい」
「ロボットのことやヒトの目の見え方の違い、だまし絵を見てストーリーを考えるなどの体験ができてとっても楽しかったです」
そして・・・
「こたえなし!」
ありがとうございました!
<プログラムについて>
Central Idea: ものの見方はひとつではない。
探究の流れ
1.身体の機能は補い合う(視覚が使えないときは触覚を使う) -Function
2.目が見えていても、ものの見え方はひとつではない -Perspective
3.見え方のちがいは、考え方のちがい -Causation
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