home > Blog > スタッフブログ > 「飽きるまで遊び、飽きたことに正直になりまた新しい遊びを考えよう」~芸術家 土佐信道さんインタビュー

 

4月よりスタートした、ART(芸術)をテーマとするポラリスこどもキャリアスクール5期。 6月4日、「新しい発想のものづくりには論理とナンセンス(超常識)が必要だ!」のナビゲーターとなっていただく芸術家、土佐信道さんにインタビューしました。超常識を生む極意とは?

 

<講師プロフィール>

土佐信道(とさのぶみち)明和電機株式会社 代表取締役社長

1993年にアートユニット「明和電機」を結成し、日本の高度経済成長を支えた中小企業のスタイルで、青い作業服を着用し作品を「製品」、ライブを「製品デモンストレーション」と呼ぶ。既成の芸術の枠にとらわれることのない活動は、多岐にわたり、国内だけではなく、ヨーロッパ、アジア、アメリカなど海外でも広く活動を展開。 2013年~「ROBOT!」(フランス)2016年「MaywaDenki NONSENSE MACHINE」(上海)2016年「International Arts Carnival」(香港)など世界各国での出展多数。「ボイスメカニクスシリーズ」として開発された電子楽器オモチャ「オタマトーン」は、日本おもちゃ大賞2010、「ハイターゲットトイ部門」にて「大賞」を受賞。1967年兵庫県生まれ。1992年 筑波大学大学院芸術研究科修士課程修了。

 

こたえのない学校:現在のお仕事について教えてください。

土佐信道氏(以下敬称略):明和電機という活動をして24年目になります。基本は、「ナンセンスマシーン」というものをつくっています。これは一言でいうと「役に立たない機械」ですね(笑)。ふつうの機械は役に立つのですが、そうでないものを作っています。それ以外に、それを使った興行(ライブや展覧会)をしたり、ナンセンスマシーンをつくったノウハウを応用しておもちゃなどのプロダクト開発をしています。

 

こたえのない学校:仕事で大事にしていること、大事にしてきたことを教えてください。

土佐: まず、「仕事なのか?」ということですね(笑)。実は、あまり仕事をしているという意識がありません。ベースが芸術なので、芸術は自己探究して、新しい表現を見つけるということなのですが、「営み」という言葉のほうが近いかもしれません。昔、マンモスを捕るのは仕事ではなく「営み」だったといわれますがその感覚です。ただ、〆切はありますし、経営上の課題もあります。

そこで大事にしているのは「売っていくものが何か」ということを明確にすることです。それが何かというと明和電機の場合は「ナンセンス」なんですね。ナンセンスという言葉は一般的には「無意味」とか「非常識」とかという意味でとられているのですが、そうではなくて常識を超えていくということ、と私たちは捉えています。これをまず見つけないことにははじまりません。まずそれを見つけることが一番大事です。

「ナンセンス」は石油産業における原油みたいなものですが、これを見つける作業は実は一人でしかできません。見つけた後の社会化や商品化はみんなでできるのですが、中心にある「ナンセンス」を見つける作業、これは芸術的自己探究以外の何物でもありません。

この探究は僕の場合は深い、深いところから出発するものです。それは自分の内面を見たときに感じたものかもしれないし、世の中を見たときに、「これっていったい何なんだろう?」と思ったりしたことかもしれません。自分を知りたいということはつまり、世界を知りたいということでもあります。自分が不可解だと思ったり、違和感を感じたのであれば、なぜそう思ったんだろう?と掘っていきます。僕の場合はスケッチを描いたり、機械を使ったりしながら掘り下げていきます。

「不可解」は、もともとは情念のような得体のしれないものなのですが、後半戦はここを理性で叩いていく、という作業をします。機械そのものは論理なので、そこは論理的手法を使います。「不可解」も「論理」も両方重要です。不可解なものを不可解なまま出すという表現の仕方もあるのですが、僕はそうではなくて、ある程度の精度で削って、残った部分を明確にしたいというのがあります。そうやってできたナンセンスマシーンといういのは、自分が見ても、客体物としてもすごく面白いものになります。

 

こたえのない学校:今のような「ナンセンスマシーン」をつくり始めたのはいつからですか?

土佐: 本格的に自己を掘り始めたのはいつか。修士の1年生の時からです。それまでは(表現に対して)好き勝手にやっていました。「表現している自分は何者だろう?」などということは何も考えていなかったです。論理性もありませんでした。しかしある時、壁にぶつかり、「あれ?」っと行き詰りました。気がついたのは、卒業制作を作ったときに「これではない」と思ったときです。

生物は不可解でナンセンスなものなのですが、機械はコモンセンスの塊です。そこのズレにぶち当たりました。「作れないや。。。」となってしまいました。で、落ちるところまで落ち、気が付いたら電機屋の恰好をして前に飛び出していました(笑)

 

こたえのない学校:仕事の楽しさはどのようなところにあると思いますか?

土佐: 何段階かあります。そして、どの段階でも楽しいです。まず、僕の場合は一人で考えているとき、ドトールでコーヒーを飲みながら描いている時間、イメージは「釣り」ですが、その時はまさに至福の時間です。次の段階が釣れたはいいけど、どうやって形にするの?というところです。ここは明和電機の場合は工員さんと一緒に手を動かしながら考えていきます。ここも楽しいです。そして最後にできたのを人に見せびらかして「イエイ!」の段階ですね。この段階になると芸事(型)としての楽しさもあります。この3つの段階はそれぞれ違う楽しさがありますが、僕はこれを「引きこもりが更生していくプロセス」と呼んでいます(笑)

 

こたえのない学校:「見せびらかしたい」とありましたが、これは最後は評価を得たいということですか?

土佐: はい、もちろんです。ウケたいということです(笑)

 

こたえのない学校:仕事で辛かったことはありますか?

土佐: うーん、、。(しばし考える)

ないですね。同じ部品を100個作らなければならないとか??そんなことくらいしか思いつきません。

 

こたえのない学校:これからお仕事でチャレンジしたいことはどんなことですか?

土佐: うーん。そうですね。。先日テレビのドラマで俳優をやってみたのですが、、「そんなに長くやるもんではないな」と思いました(笑)真面目に話をすると、Fabもそうですが、「ものをつくる」という手法がどんどん新しくなっているので、追いかけるだけで自然と新しいことをやっているような気がします。

 

こたえのない学校:小さい頃どんなお子さんでしたか。

土佐: 小さい頃は「口から生まれたのか?」といわれるほどのおしゃべりでした。目立ちたがり屋で、ピンクレディを踊ってました。出身の兵庫県では「はばしい」というのですが、「騒がしい」「うるさい」「アクティブ」が合わさった、そういう感じです。その後、一度思春期で内向的になりましたが、絵描きになりたかったこともあって、内面を掘り下げていきました。筑波大学に行ってさらに静かになりました。何もないところなので、(自分を)掘らざるを得ないんです(笑)でもその時にあがいたこと、旅に出たり、魚の絵をいろいろ描いたこと、筑波は総合大学なので生物の授業をとったりしたことが役に立っています。そこで「サカナ!」と抜けました。

 

こたえのない学校:今の小学校の子どもたちへのメッセージ、お願いします。

土佐: そうですね。僕がなんで楽しくやっているかというと、僕がオモチャを作っている、作れる、楽しさなんですね。それは「大人力」を使って作ってるんです。(だから)「ざまあみろ」「羨ましいだろ」とこどもに言える(笑)その面白さというのは、つまり「アソビを考える」という「アソビ」の面白さなんです。

昨今、子どもの時からどうしてもいろいろなものが与えられ、「Make」ではなく「Choice」になりがちです。情報も多いですし。でも、それでは、止まってしまう可能性があって。なので、「飽きるまで遊びなさい」ということでしょうか。飽きたことに正直になり、また新しい遊びを考える、それをやってみたら、ということです。

 

土佐さん、ありがとうございました!

 

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