home > Blog > スタッフブログ > IBで育つってどういうこと?シンガポールUWC校卒業栗田奈々さんインタビュー

 

夏も盛りですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

さて、2年前にスタートしたこたえのない学校のメンバーも少しずつ増えてきました。今後少しずつ、メンバーの素顔についてご紹介していきたいと思います。

今回は、学生サポーターとして参画することになった、栗田奈々さんをご紹介します!

栗田さんはシンガポールに生まれ、先日シンガポールのIB校(UWC)を卒業され、この秋から日本の大学に進みます。

どんな授業をやっているの?IBから何を得たの?日本の学校との違いは?これからの夢は?いろいろ聞きました。

 

nanakurita profile picture

 

 

こたえのない学校:いままでの経歴を教えてください。

 

栗田: 私は、シンガポールに生まれ、タイ、ベトナムで幼少期を過ごし、またシンガポールに戻り、先日の帰国までずっと海外で過ごしました。幼稚園からを含めると12年間以上IBで学びました。PYP(初等教育プログラム)、MYP/IGSCE(中等教育プログラム)、DP(ディプロマプログラム)と受けてきましたが、Grade8(日本での中学2年生)からUWCSEA (United World College of South East Asia)に編入したことが特に私に大きな影響を与えています。

UWCでは、IBのほかにUWC独自の理念(Elements of UWC) があり、Academics(IBと同じ)、Activities、Outdoor Education, Personal & Social Education(PSE), Serviceを学びます。特にOutdoor Educationでは、“Step out of your comfort-zone” といって、自分の殻を打ち破り新しい自分に出会うことにフォーカスします。またPSEではAcademicsでは教えてくれない人間関係や、生きていく上でのスキルを学ぶカリキュラムが設定されています。

UWCでは生徒の積極性が求められます。「何かがやりたければ、言ってくれればなんでもサポートするよ」と先生は言ってくれます。学校全体のコミュニティがお互いをサポートし合う環境があります。この環境で私は5年間、とことん自分のやりたい事を追及できました。Assemblyといって、週一回行われる学年集会で、生徒たちは自分たちで仲間を募って新しい事をする機会にも恵まれました。こうした環境が小さなころからあることが非常に重要なのではないかと考えています。

 

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(UWCSEAのクラスメイトと)

 

こたえのない学校: IBのプログラムは教科横断だと言われますが、どのようなところにそういうことを感じますか?

 

栗田: PYPは、Transdisciplinaryといって、そもそも科目の垣根がありませんが、MYPからは教科が出てきます。でも、例えば、Geography(地理)の授業だとだと地震の被害についてマインドマップのような形で描いていく過程で家が壊れる、人が死ぬ、財産がなくなる、施設が壊れ仕事がなくなり失業率が上がる・・ことが分かります。そうすると経済学にも影響するし、被災者のトラウマは心理学にもリンクします。こうした関連性を重要視して多面的に学んでいきます。

先生がファシリテーターとしてこうした授業にかかわるので、よい問いや導きによって深まっていきます。先生がいることで生徒はもっともっと深く考えていくことができます。そのプロセスが探究なのだと思います。先生の存在はとても大事です。

こうした学びを推進するために、科目はデパートメントでまとまっており、例えばScienceだと、化学、生物、物理の先生は同じデパートメントとしてお互い情報共有し、協力も行います。

またディプロマプログラムでは、TOK(Thory of Knowledge) という教科があり、批判的に思考し「知る」プロセスを探究する授業があります。こちらも教科を横断するものです。

 

こたえのない学校:日本の教育についてどう思いますか?

 

栗田:TOKの授業でお世話になったアメリカ人の先生が18年間日本にいたことがあったのですが、その経験から日本の初等教育はすごくいいと思う、とおっしゃっていました。特に給食を自分たちで配膳したり、掃除をみんなでやる部分などを評価していました。インターナショナルナショナルスクールではカフェテリアで食事のプレートを戻すときも、ごみはそのままテーブルに置いていきっぱなしであることが多いです。

また、数学など基礎的な学力がしっかりつくとも思います。こうした日本の学力はインターナショナルスクール、アメリカなどの現地校でも充分通用します。日本の学校からインターナショナルスクールに来た子で英語が多少苦手でも、こうした基礎学力をベースにどんどん上のレベルの授業を取っていく人がいます。日本の学校の教育のレベルは基本的には問題ないと思うので、もっと自信を持っていいと思います。

 

こたえのない学校:日本ではだんだんにプロジェクト学習のようなものも増えてきていますが、IBで学んだ経験と比べて何か思うことはありますか?

 

栗田:中学の時に日本の学校で植物を観察するものがあったのですが、観察の目的やコンセプトが示されず戸惑いました。「みんなでこれやります!やってください」ということで、植物の成長を記録しましたが、「何のための観察か」が示されませんでした。観察から何を学ぶのか、が重要だと思います。

また、ネイティブによる英語の授業があり、日常会話を体験するハンバーガーショップでのロールプレイがありました。とても楽しかったのですが、「楽しく学ぶ」と「遊ぶ」の境界線はなんなんだろう、と感じました。せっかくの貴重な機会なので、日常的にもっと英語を使ってみる、もしくは中学校での英語の授業をまじめに取り組む、というアクションにつながるような設計が必要ではないかと感じました。

 

こたえのない学校:日本の社会では「やることが目的になっていること」が多いかもしれません。

 

栗田:自分のやっていることに対して疑問を持つということは大切だと思います。そこに疑問を持たずに「言われたから」と淡々と目の前の作業をこなすことは、結果として遠回りをしているのではないかと感じます。インターナショナルスクールでは、「なぜこれをするのだろう?」と思ったらすぐ聞き、その結果、その工程が不要だとわかったら、することを止めます。でも、日本の学校では、今やっている作業や勉強の目的を学生が問う場面に遭遇しませんでした。こうした態度の差が、社会に出た後の仕事に取り組む態度の差につながっているのかもしれないと思うことはあります。

 

こたえのない学校:秋から慶応SFCでいよいよ大学生になりますが、どんなことを勉強してみたい、どんなことをやりたいというのはありますか?

 

栗田:本当は、高校から慶応SFCに行きたかったんです。というより、日本に住んだことがなかったので、逆に日本にとてもあこがれてしまっていて。

SFCの理念は「問題発見、問題解決」なのですが、これはいままで私が学んできたことと同じです。これから自分たちが築き上げていく未来に向けての「問題発見、問題解決」をしていきたいと思います。インターナショナルスクールでずっと育ってきた自分の経験も振り返り、「教育」は私の大きなテーマです。ただ、最初は政府から教育変革にアプローチしようかとも思ったものの、それではとても時間がかかることも分かってきました。自分でプログラムを作って提供し、こういう学びがあるんだ、ということを提案してしまったほうが早いかもしれないとも思い始めています。

 

UWC Graduation 2

(卒業式ではそれぞれの国の衣装を着る)

 

IBということでいえば、いま政府としてはまずディプロマプログラム(DP)を導入し、次に中等教育プログラム(MYP)導入と聞きました。しかし、本質的には、そのベースとなる初等教育プログラム(PYP)からの導入が重要だと思っています。MYPがスタートする小学校高学年からスタートしても切り替えができなくはないですが、小学校時代に人は自分の性格や人格、考え方の土台を築くのだと思います。この時代に、失敗を恐れず自分のやりたいことを発信し、積極的に物事に取り組むことができるような安全安心な環境を構築することが私のやりたいことです。

実は、東京都の主催する「TOKYO STARTUP GATEWAY 2016」に応募したところ、教育のプランを含め複数のプランが第一次選考を通過しています。こうしたチャレンジを続け、ネットワークを広げ、大学生活を存分に楽しみたいと思っています。

 

こたえのない学校:海外でずっと育ってきた栗田さんですが、グローバルという言葉で何か思うことはありますか?

 

栗田:英語は単なるツールに過ぎないのですが、英語ができないことを理由に海外にでることを躊躇する人がいます。でもそんな遠慮はいらないと思っています。失敗からも学ぶことはあるし、そもそも海外に出ることでコミュニケーションがアップするのではないでしょうか。

自分の殻を破ることで新しい自分に出会えるかもしれない。日本は母国なので、いつでも帰ることができるのだから、英語ができないということは気にせずどんどん外に出てほしいな、と思います。面白いはずですよ!

 

こたえのない学校:ありがとうございました!

 

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