home > Blog > 藤原 さと > アメリカのホームスクーリングから考える学校の存在意義について(続編)

藤原さとです。

 

以前、アメリカのホームスクーリングについて書きました。(もう一年以上前ですね。)

http://kotaenonai.org/blog/homeschooling-us-satoblog1602/

 

その時のブログでホームスクーリングをしていたというAちゃんの話を冒頭にしましたが、その後Aちゃんはウチの娘ととても仲良くなり、夏は一緒にプールに行ったり、お泊りに行き来するようになりました。最近も毎週(!?)のようにプレイデートといって放課後に一緒に遊んでいます。

実は、Aちゃんは、2年生が終わった段階で、いろいろあって公立小学校を辞めて、またホームスクーリングを開始したのですが、交流が続いています。当然、子どもたちを遊ばせている間は、Aちゃんのお母さんとお茶と一緒に他愛のない話をしているので、なんでホームスクーリングを始めたのか、など色々知るところとなりました。

あくまでホームスクーリングの一例でしかないといえばそこまでですが、こういうこともあるのだな、と思って読んでいただければ幸いです。

 

【Aちゃんのお兄ちゃん】

色々話を聞いているうちに、Aちゃんのお兄ちゃんのD君がもともとホームスクーリングをしていて、それにある意味引きずられるような形で、Aちゃんもホームスクーリングをするようになったことが分かりました。

そしてこのお兄ちゃんがすごいのです。今14歳ですが、なんと昨年から地元のカレッジに入学しており、大学生と同じだけの単位を正規学生としてとっているのです。先学期は大学代数(College Algebra)や論文英語の授業などをとっていたようですが、今学期からいよいよ自分の興味のあるシェイクスピア、Biology(生物学)などのコースをとっています。

なんでそんなことが可能なのかと聞いたら、7年生(中学一年生)の時に、大学入学試験のSAT(日本の共通一次のようなもの)で、ハイスコアをとったため、それを持っていったらそのまま入学を許可されたとのこと。

しかも正規のカレッジの学生はそれだけでもそれなりに忙しいのに、高校のロボティックスのチームにも入っているそうです。ロボティックスに生物学にシェイクスピアですか。。。D君はAちゃんと一緒にうちに遊びにくることも多く、ちょこちょこ話すことがあったのですが、ちょっと私の想像を超える世界がそこにはありました(笑)。

たしかにD君の風貌は、線が細く眼鏡をかけていて、ちょっと普通にいる溌剌とした感じと子は違うのです。お母さんもこの子はGeek(オタク)だから、とニコニコしています。

私自身、D君もホームスクーリングだと聞いて、はじめは上記のようなことを知らなかったので、単純に学校が合わないのだろうと思っていたのですが、違いました。私の貧弱な想像力を恥じた次第です。

 

(写真)D君は日本のマンガが大好き。なので、PUNCH MAN(ワンパンマン)という夫が読み終えた英語バージョンのマンガをプレゼントしたら、すごく喜んで読みふけり、その後お礼に(!?)リトルビッツという電子工作のキットで、娘たちと遊んでくれました。

 

【Aちゃんとお母さん】

そんなお兄ちゃんを持つAちゃんですが、Aちゃんはとてもかわいらしく、いつもピンクの服でおしゃれをしていて、ちょっとシャイではありますが、(失礼な言い方を承知で書くと)おにいちゃんよりふつう・・な雰囲気です。身体を動かすのが好きでずっと体操を続けていて、週に3日やっています。

また、お母さん曰く、お兄ちゃんのように何もいわずとも勝手に勉強するタイプではなくて、どちらかというと勉強が嫌いなので、ホームスクーリングでみっちり教えるのは、大変だと言っていました。

そんな全く違ったタイプの兄妹をもちながら、お母さんはいつも大らかで、D君も反抗期になってもよさそうなのに、なんだか仲良さそうにゆったりとした空気が母子の間には流れています。教育ママという雰囲気はぜんぜんありません。

お母さん曰く、D君の場合は「何もしなくてもどんどん本を読むし、勉強をしてしまうので何もしていないわ。もう途中からから 私のレベルを超えてしまっていて、そもそも何も手助けできなくなっているのよ。(本当か?と突っ込みたくなりますが)」とのことです。

一方で、私がお茶を入れるために少しキッチンにはいって戻ってきたら、うちにある参考書や、娘の宿題教材を広げて、じっくり見るママの姿が。。「これいいわね!写真撮っていいかしら?」と言って、どんどん教材の写真を撮っていきます。また、午前中は算数をAちゃんに教えていたそうです。

ホンワカはしていますが、その様子から子どもの教育に対する並大抵ではない情熱とパワーが垣間見られるのでした。

 

【子どもを伸ばす秘訣はあるのか?】

D君の場合は、もちろん生まれ持った能力というものがあるのでしょう。でも、Aちゃんが運動が好きならとことんさせてあげているように、彼女には子どもの好きなことをみつけて存分にサポートしてあげる才能のようなものがあるように見えます。

また、お金の制約もあるのでしょうが、D君が地元のカレッジに行っているのは、ほとんど学費が無料だということもあるようで、お金をほとんどかけずに自前で工夫をしているように見えます。ふつう、中学に入ったばかりの子にSAT(大学受験用のテスト)を受けさせようとはしませんよね。。「なんにもしていない」と言いながら、かなりクリエイティブに自分の子育てをデザインしています。

でも、ホームスクーリングに対する偏見はやっぱりあるし、大変とも言っていました。彼女はミシガン出身なのですが、ミシガンはあまりホームスクーリングがポピュラーではなく、自分の母親には「学校に子どもを行かせないなんて信じられない、クレイジーだ」と今でも言われているそうです。(ちなみに、テキサスはMost Homeschooling Friendlyな州と言われています)

色々な先入観や思い込みなく、子どもを見てあげて、しかもとことん自由に子育てをしている彼女を見ていると、私ってなんて小さいんだろう、と思うとともに大きな学びがあります。そして、彼女の何事にも捉われないクリエイティブさを間近で見ていることこそが子どもたちにとっての大きな学びになっていると思います。

 

【学校の意義とホームスクーリング】

こうやって、身近にホームスクーリングがあるといろいろ学校の在り方について考えさせられます。

日本では「不登校」という名前がつき、フリースクールの在り方についても、議論がされていると思いますが、「学校に通う子」「不登校」ときっぱり分けてしまうのではなく、グラデーションがあってもいいと思うし、「不登校」の受け皿を適応指導教室やフリースクールと決めつけなくてもいいのではないかと個人的に思います。場合によってはD君のように地域の資源を活用してどんどん学びをデザインするという自由があってもよいのでは?今、個別指導塾みたいなものも増えていますし、進学塾を使ったっていい、モンテッソーリ・シュタイナー・サドベリーなども含めたオルタナティブな学びを選択してもいいのかと思います。イエナプランの学校ももうすぐできますね(こちらは私学になりますが)。

ところで、教育基本法には、第二章 第五条に「国民は、その保護する子に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。」という文言があります。

教育基本法(文科省)

http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/06042712/003.htm

ただ、第一章第一条には「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。」ともあります。今の学校で、本当にこの目的を実現できているのか。“普通”教育を飛び出した人たちが少しずつではあっても増えてきていることに、その答えが垣間見られるような気がします。

もちろん、国なのですから、「なんでもあり」はないと思います。「普通教育を受けさせる義務」というものをどのように捉えていくのか。もっと自由に発想したり考えてもいいのじゃないかと感じるのです。もちろん公教育や私学の価値がそこでなくなってしまうようなものでもないですし、「不登校」の子が身を小さくして生きていく必要がないくらいには、社会が寛容になればいいのに、と思う次第です。

いずれにしても、Aちゃんのお母さんと話していると、物事をゼロベースで考える面白さと重要性を感じます。私は子どものことをまっさらな目で見てあげられているだろうか。

彼女と話していると、そんなことを思うのです。

では、今日はこの辺で。

 

※本ブログは、ホームスクールの専門家によって書かれたものではなく、アメリカでの現状を報告することが主旨となっています。また、いわゆる諸事情があって、学校に通えないケースと自ら望んで学校外の学びを求めるケースでは違うと思いますが、ここでは敢えて分けて書いていません。なぜなら、こちらの学校がそういう風に分けていないからです。もし、不完全な記載、不適切な表現などありましたら当ホームページの「お問合せ」より個別にご連絡ください。私も勉強させていただきます。

 

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