目黒区コミュニティ探究プログラム「東根公園りぼ~んプロジェクト!」実施しました。

2014年年末から2015年の年明けにかけ、目黒区の放課後フリークラブ事業の一環として、目黒区立東根小学校にて全3回のプログラムを開催しました。その名も「東根公園りぼ~んプロジェクト!」。

東根小学校近くにある東根公園の改修工事をきっかけに、子どもたちが公園について考え、生まれ変わる(reborn)公園にリボンをかけるというプロジェクト。目黒区 都市整備部 みどりと公園課にも協力いただきました。

子供たちには、新しく生まれ変わるこの公園に、愛着、興味、責任を持って欲しい・・・。その想い、伝わるでしょうか。

さて、、昨今、「ボール遊びがダメ」「犬の散歩はダメ」「飲食禁止」などの公園のルールについて議論がされたりもしていますが、そもそもなぜこんなことになっているのか、公園は誰のものなのか。公園は、どうやったら愛されるようになるのでしょう。

公園が愛されるようになるには、何が必要? みんなが勝手に使ったら、そこは愛される公園になるでしょうか。

今回探究するテーマは「私たちのためにルールとマナーがある」子供たちと一緒に愛される公園を考えていきます。

樹木版

しかし!! 子供たちは、実は、「ルール」を考えるというテーマであったにも関わらず、「ルールではない」解決方法の模索を始めたのでした。 困った行動を変えるには別のやり方がある!というのは、画期的な視点です。

さすが子供たちのアタマは柔らかい。なので、私たちは子供たちの考えを尊重し、その考えを見守る事にしました。一方で、このやり方を実現することの困難なこと困難なこと。結局公園って何? ルールは必要か!? このむずかしさとモヤモヤ、発想豊かな子供たちのプレゼンテーション。

子供たちのやりとりを中心に全3回の流れをご紹介いたします!

 

≪公園ってなんだろう?≫

「東根公園て何があるの?」・・まず聞いてみました。

シーソー、ブランコ、滑り台!

子どもたちは知っていることをみんなどんどんあげていきます。

だんだんと今回の改修後の様子について言及する意見がではじめ、気づいたら「こんな公園だったらいいな」という意見もでてきました。

「じゃあみんなの理想の公園って何?」

子どもたちからは次々と、動物がいっぱい!お花がいっぱい!森がいっぱい!虫がいない!…

…アトラクションがある!ゲームセンター!危ない公園!バンジージャンプ!

「え、それじゃあ公園じゃないじゃん!」

どんどん意見が出る中で、子ども達の中から公園と公園じゃないものがあるという認識がうかびあがります。

喜井さんと生徒たち

≪ルールってなんだろう?≫

「ルールなくてもいいんだけどね」

ルールについて聞き始めたところでポロっとでてきたおもしろい発想。

「え、なくてもいいの?」と問い返すと、

ないと混乱しちゃう。人殺しもおきる。などルールがないと困るという意見も。

「でも、ルールを決めてもやぶるのは簡単だよ」「やぶってもみられてなければ大丈夫」

それぞれ自分の経験からルールについての考えを言ってくれました。

「じゃあルールを決めるのは誰なの?」

という問いには区役所、男性、人間、公園をつくった人、おじさん…

みんな具体的な答えはもっていなかったようでした。。

 

≪公園探検と公園課の方のお話≫

ルールについて少し考えたところで、今度は実際に東根公園を見に行ってみることにしました。

公園ハカセ=区役所のみどりと公園課、櫻田さんに今日は来ていただきお話をききました。

東根公園はいま何歳?  どんな遊具ができるの?

工事をするのにお金は何円くらいかかるの? 誰のお金?

現在の公園でのルールについても簡単に説明してもらいました。

目黒区公園課の人

東根公園で

 

≪嫌な公園てどんな公園?≫

2日目のプロジェクト。

考える切り口として、前回最後に聞いた「こんな公園は嫌だ」か、「ルールのない公園はどうなる?」の二つを提示。こどもたちは前者を選び、ポストイットに記入をはじめました。

「嫌な公園にしないために何かできることあるかなぁ?」

う~んと悩むこどもたち。手始めに「ゴミばっかり」に注目して、それってどういう状態なのか詳しく考えてみました。

ポイ捨て、ゴミ箱がない、ペットのゴミそのまんま、東根公園は根っこが見えてて荒れている感じ…そんなイメージをだすところから、「私もおかしのゴミおいてきちゃうけどね」といった話も。

「家に持って帰るのが面倒」「かばんの中が汚れちゃう」と、自分の経験に照らしてゴミだらけを考え始めました。自分の後ろめたい経験もゴミをどうすればいいかを自分ごととして考える一つのきっかけだったようです。

 

≪ダストシュートゲームだ!≫

そんな中アイディアがぱっとでてくる子が。

「ゲームにしたらみんなゴミ問題を解決してくれるかも!」

他の子もその考えに共感し、分担しながらゲームの内容や外観を考えることに。

名前はダストシュートゲームにしよう。

一回いくらぐらいがいいかな

景品は何にしようか。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

いろいろなことを考えているこどもたち。公園課の人にプレゼンすることも考えて、発表資料もつくりました。

しかし、内容を詰めていくうちに、

この景品本当にほしいかな?どうやって用意するの?校長先生に頼む?

この技術本当にできるか、今度社会科見学にいくから車の工場の人にきいてみる。

イメージだけでは難しいポイントが次第にでてきました。

どうやったら実現できるんだろう?楽しいアイディアがでてきて満足そうな子もいれば、立ちはだかってきた難問にモヤモヤし始める子も。大事なのは「楽しくきれいにする」と書いていた子もいて、なるほどなるほどと思わされることも。

次回はより実現できる意見を考えてきてね。と宿題をだし、ちょっとしたモヤモヤの中二日目は終了したのでした。

 

≪ダストシュートゲームを超えろ!≫

3日目は考えてきた案をまとめてプレゼンから始まりました。

ひとりは

「お金はないけど、景品があったらいいな」という問題を

つきつめた過程を発表してくれました。

結論はでなかったようですが、

黙々と景品について考え、

そしてだれよりも悶々としているようでした。

景品の案

別の子は

ピタゴラスイッチのようなゴミ箱を

提案してくれました!

発想がとまらないのでしょう、

この絵のように

流れるように溢れ出すアイディアを発表してくれました。

ピタゴラ

3年生の女の子は“ダストミラーハウス”という

不思議なお家を提案してくれました!

ごみはうす

楽しいゴミ箱の次は、楽しいゴミハウス?!

その場所まるごとゴミについて楽しみながら考えよう!

というイメージのようです。

 

≪ルールの本質≫

アイディアは生み出せるものの、それを実現するとなると難しそうだ、という問題に

みんな直面している様子・・・

そんな中、「そもそもルールがあるんだから、破らないようにすればいいんじゃないの?」と問いかけてみました。考える態度が身についていたようで、う~ん、と考え込む子どもたち。

「一回破ったら立ち入り禁止!」早速罰則を設ける案がでてきました。

「じゃあ一回破ったら死刑」そんな突飛な意見には、流石に子どもたちも引き気味で、「こわい」、「たくさんの人が死んじゃう」という意見。

楽しくない!から公園じゃなくなっちゃうと、1日目に考えた公園の条件を基に意見を言う子も。みんな入りたくないから誰も来なくなっちゃう。という結論に落ち着きました。

しかし、そんな話し合いの中、「だって、髪の毛一本落ちてもポイ捨てで死刑になっちゃうよ。ポケットからゴミが落ちちゃってもポイ捨てでしょ?」「え、でもそれはポイ捨てなのかなぁ?」何気ないつぶやきから、ポイ捨てってなんだろうというそもそも論に発展。

ポイ捨て談義が始まりました。

「ポイってすてること」「ゴミ箱に捨てることもポイ捨て?」「地面に捨てること」「じゃあ公園全体がゴミ箱ならポイ捨てじゃなくなるね!」「ぽいステーション!(笑)」「お掃除ロボットがいればきれいになるじゃん!」「東根ルンバだ!」

今度は別の角度から「ゴミだらけの公園防止策」が発案されました。東根ルンバ構想にみんなのアイディアはシフト。ここで休憩時間になり、東根ルンバを真似したりちょっと楽しい雰囲気になってきたかな??

そんな休憩は鋭い意見と共に終わりを告げました。

 

「東根ルンバがあるとゴミがあってもきれいにはなるが、ポイ捨てする人は減らないんじゃないかな」

すると子どもたちはそれにつづいて

「東根公園にごみを捨てに来る人が増えるかもしれない。」

「家にごみをおいておきたくないし、ルンバが掃除する

ところを見てみたい人がいそう。」

「でもやっぱりお金もかかるし、つくる人も誰かわからないよ~。」

また異なる意見が出てきた。

「そもそも公園にごみを持ってきてはいけないようにする。」「持ってきたら罰金は?」「立ち入り禁止は?」

「ん~でも警備の人を置かないといけないよ。」「お金がかかるね。」「立ち入り禁止の看板にもお金がかかりそう。」

ますますもやもや・・・

 

じゃあ公園って・・・あれ、なんなの?!

「ダストシュートゲームを置くと、場所がとられて遊具が減っちゃうんじゃないか??

そうするとそこは空き地みたいになる→遊具がない→公園じゃない?遊具はあるけど校庭は公園じゃないと思う。じゃあ公園って・・・あれ、なんなの?!」

「公園を楽しくきれいにしようってイベントをしても、そのイベントの間は公園で遊べないじゃん。遊べないなら公園じゃないよね?」

「みんながごみを捨てればいい」

なにをするにもお金がかかる? 結局ルールを守るしかない?

楽しく綺麗にできる理想の公園を目指すか、ゴミをちゃんと捨てるめんどくささをとるか・・・

たくさんのもやもやが出たのは、いーっぱい考えた証!

これらは、今出せる自分なりの“こたえ”なのかもしれません。

今回、解決しきれなかったもやもやは、またどこかで、カタチを変えて出会い、

次はちがった“こたえ”を生み出してくれるでしょう。

皆の感想

 

≪最後に・・・樹名板作成≫

今回、目黒区のみどりと公園課さんからは、木の種類や本数の事も教えてもらい

「みんなには樹名板をつくってもらいたいと思っています。」という依頼もいただきました。

樹名板をつくる自分の樹を決めて、種類と場所を確認。図書室で、樹名板の作成に!自分の知らない樹を選んだ子は図書室で調べもの。それぞれの工夫をしながらこんな樹名板を作っていきました。東根公園、これからも大事にしてくださいね!

樹木版作成

(終)

<プログラムレシピ>

Central Idea:  「私たちのためにルールとマナーがある」

Goal : 新しく生まれ変わるこの公園に、愛着、興味、責任を持つ

Lines of Inquiry

・公園のステークホルダー (使う人だけでなく、行政、近隣住民など) ←Perspective

・気持ち良く場を共有するためのルールやマナー ←Function

・主体的にルールやマナーを守るための仕組みや仕掛け ← Responsibility

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